2007年11月16日

選手と客の心もバリアフリー?(一宮記念)

小田原競輪場を出た後は箱根新道を抜けて静岡県沼津市へ。

次の目的地が愛知・一宮であることを考えるとここらで早めに休んでおいて
夜中に高速道路のETC深夜割引(30%オフ)を利用してアプローチしたほうが確実によさそうなので
今回は沼津インター近くにある「万葉の湯」に行って午前3時近くまで休んでいくことにした。


万葉の湯・沼津店
入館料 平日1600円・土日祝2100円(午前3時以降は1250円追加)

各地にチェーン展開する万葉の湯はいわゆる健康ランド的な施設。
小田原競輪場のすぐ近くにもこの「万葉の湯」は存在するのだが
そちらは朝まで宿泊しないと駐車料金がかかってしまったり、沼津店と比べて割高な価格設定になっていたりするため
翌朝愛知に向かうのであればこちらのほうが確実にお得であることから今回は沼津店を利用することにした。
(ちなみに小田原店では仮眠室においてスピードチャンネルが視聴できる)

風呂に入ってから食事を済ませ、休憩室でほぼフルフラットになる座席でテレビを見ながら寝ると
気が付いてみたら時間はあっと言う間に午前2時半に。
チェックアウトして車に乗り込み、一路西を目指して走ってみたが
どうもまだ寝足りない感じがして浜名湖SAで早々にダウンしてしまった。

名神高速の小牧・一宮エリアはかなり混雑するため、本当は夜明け前に一宮インター近くの尾張一宮PAに到着しておきたかったが
結局そこに着いたのは交通量が多くなり始めてからのこと。

沼津-名古屋間というと距離的には前橋-新潟間と変わらないのでそれほどの走行距離ではなかったのだが
さすがに連闘で疲労がたまっていたのか尾張一宮PAに着いてからも
車の中で9時過ぎまでぐっすりと寝てしまうことになってしまったのだった。

なんの因果があるのかは分からないが
競輪場がある場所の近くには不思議とファミレスの「デニーズ」があることが多い。
これを私は勝手に「競輪とデニーズの法則」と呼んでいるのだが…(笑)
この一宮競輪場もご多分に漏れず、競輪場からほど近い場所にデニーズがあったので
競輪が始まるまでそこに寄ってコーヒーでも飲みながら新聞でも眺めてみることにした。

この日の1レースの開始時刻は10時55分。
10時半にデニーズを出て競輪場北門前にある駐車場に車を停め、そのまま北門から入場すると
目の前には弥彦のようにきれいなおねえさん達が出迎えてくれない代わりに
噂の「いちのみや」の文字で構成されたシンボルマークが出迎えてくれた。

さすがにここは特別競輪を開帳するだけの競輪場だけあって全体的に施設が古いながらも
特別観覧席など余計に金を取る部分だけはきれいなものに建て直されていて
場所によってはかなり新しい施設にいるかのような錯覚を受けてしまうほどきれいになっていた。

(ちなみにこの通路のすぐ左横は野球場になっている)

近代的な通路を抜けると、そこにあったものは実に「昭和の香り」が色濃く残る風景。
薄暗い空間にたくさんの人がひしめきあい、立ち並ぶ穴場からはオバチャンたちが一斉にこちらを向いて座っていた。

マークカード置き場には岐阜競輪場で見たのと同じボックスを意味する「からみ」の文字があり
鉛筆置き場には「ペグシル」という聞きなれない文字も書き込まれていた。


「ペグシル」というのはクリップつきの鉛筆の商品名で


実際に見たことがある人も多いことと思うが競輪場にはこうした1000本入りの箱で納入されている。

製造元の岡屋のホームページによれば「ペグシル」は1000本入りだと1本当たりの単価は@5.25円。
正直なところ私は競輪場の鉛筆などというものは@1円以下のものだと思い込んでいたので
これを見て「これからはもっと大切に使わないといけないな」と改めて思ったことは言うまでもない。


一宮の場内を回ってみて気がついたこと。
それはこの場が完全なカタチではないにせよ「バリアフリー」な設計になっていたことだった。

コンクリートのつなぎ目の段差がやや大きく、場内の部分的な勾配もきついために
歩行が困難な松葉杖の人が歩くには少々厳しい環境ではある気もしたが
電動車いすであれば何の問題もなく行き来することができそう。

最初はバリアフリーを意識したものではなくて、車を場内各所に入れられるようにした結果
バリアフリーっぽくなっただけだろう…とタカをくくってたのだが
トイレに行ってみてビックリ。
なんとしっかりと身障者用便所も用意されていたのだった。

競輪場とは若年層よりも老人客が多い場所。
前日に小田原にひとりで来ていたおばあさんは杖をつきながら段差をゆっくりと乗り越えていたが
万が一転倒でもして老齢期にありがちな大腿骨頸部骨折でもしてしまったのでは
それこそ大変なことになってしまう。

現在、競輪業界では若年層、しかも女性を競輪場に呼びたがっているようで
こういうことは後回しにされているのが現状だが
そんななかでこうした課題を普通にキッチリとこなしている一宮競輪場は立派なものだとつくづく思った。

場内にあるフリードリンク「甘い紅茶」を飲みながらバンク側から坂を下っていくと
目の前にはこんなものが。

前日に小田原で番手の仕事をしすぎて内をすくわれた競艇大好きカイトナカさんは小田原をあがった翌日に
ここで競艇選手とトークショーを行う(行った)のだとか。
それに加えて伊藤克信氏も最近大活躍中のようでなによりである。

そこから横に進んでいくと一宮名物と言えるでっかい「焼きそば」を売っているお店がある。
最近いわゆるジャンクフードは「メガ」ブームの真っ盛りだが、さしずめこれは「メガ焼きそば」と言ったところ。

鉄板の上に大量に積み上げられた麺におばちゃんがソースをたっぷりとふりかけて
焼き上げる焼きそばはなんとたったの350円。
この写真ではいまひとつ大盛り具合いが伝わらないのが残念だが
ここまでの大盛り焼きそばで350円というのはなかなかそこらでお目にかかれるものではないだろう。


(一宮競輪のマスコット)
レースが始まり1角からレースを観戦していると、すぐ横で黄色いTシャツを着た人が
金網に張り付いているのを目にした。
黄色いTシャツの背中には「一宮けいりんを勝手に応援する会」の文字が。

ちょうどそのレースは松尾淳(岐阜・77期)-山田圭二(愛知・70期)-細川貴雄(愛知・53期)の中部ラインが
まさにシビれる走りで観衆を魅了したレース。
このレースはまだ4レースだったが、これが最終レースであっても恥ずかしくないほどの
地元勢の魂の入った走りがそこにはあった。

それにしてもこの日は車券が不調。
なんとか当たったのはこのレースだけで、あとは全部ハズレ。
こんなときは場内に流れる中部の選手が歌う「ファイトマネー」の歌も不思議と
「金がなくなる打鐘がなる 同じ失敗繰り返し…」と
自戒の歌に聞こえてきてしまう。


この開催ではこのようにホーム側に勝利者選手インタビューを行うステージが用意されていて
選手には暖かい声援が送られていたのだが
こうして誰もいないステージを見てみると、なんだか「客から審判を受ける」裁判所のような雰囲気にも見えなくはない。

のちにこのステージでは優勝したヤマコウと乞食な客との罵り合いが始まることになる訳だが
こういうステージを作って客との距離を近くしたからには
一概に臭いものにフタをするのではなく、徹底して客とディスカッションさせるというのも
アリなのではないかと個人的には思った次第。

宇都宮記念で番手仕事をしながら前をかばって残しに行った神山の内をすくった後閑は
「汚ねぇぞ!」と言われても仕方がないのだろうが
ヤマコウの場合は番手を譲った代わりに直線に入ってから正々堂々容赦なく一丸を抜きに行った結果。
このレースでは正々堂々と力勝負で優勝を勝ち取ったところにケチをつけられたのではヤマコウ選手が怒るのも当然のことだろう。

競輪道を全うした選手がなぜ文句を言われなければならないのか?

最近は選手ばかりか客のほうまでもが競輪道というものに対する意識が薄れてきてしまっているようで
この話を聞くにつけ実に嘆かわしい思いがした。