2008年2月 4日

ファンには実にありがたい職人の技(奈良記念準決Bより)

奈良記念の準決Bは新田康仁・飯野祐太・松本一成の自力3車による3分戦。

打鐘から飯野が一気にガツンとフカして発進すると
「ジャンで全開に踏むとは思わなかった」(アカギより)という飯野の3番手につけた藤野光吉(佐賀・75期)は
それに離れ気味になりながらも追走。
隊列は飯野ライン-新田ライン-松本ラインという縦長の展開で最終ラップに突入していく。

BSで中団から新田が捲るも3角までで終了。
あり得ないほどおいしい展開に飯野の番手を回った牧剛央は
目の前にぶらさがった「決勝進出」の文字に余程目がくらんだのか、なんと最終2センターから番手発進。

普通、そこまで早めに番手の選手が踏んでしまうと逃げた選手が連に残るのは難しいものだが
逃げた飯野は最後の直線に入っても必死に踏み直して抵抗。
そこに空いたインを突いて宮本佳樹が突っ込んできて
誰もが「やばい、ゴチャゴチャの決着になる!」と覚悟した刹那
飯野ラインの3番手につけた藤野は前をかばいつつも内を突いてきた宮本を瞬時に始末してそれを凌ぎ
まるで「ここはテメエの出る幕じゃねぇ。すっこんでろ!」と宮本に言っているかのような
風格に満ちた走りでラインでの1・2・3フィニッシュをきれいに決めてみせたのだった。

この展開で藤野が前をかばわず、タテに踏んでいれば飯野はズブの3着に沈められたか
あるいは宮本の強襲を受けて4着に沈んでいたことだろう。
もちろん牧-藤野-飯野というスジのズブ車券であれば買える要素は十分だが
万が一これが牧-藤野-宮本、もしくは牧-宮本-藤野という決着になっていたのであれば
多くのファンが天を仰ぐ結果となったことは間違いない。

レース後、藤野は「俺が2着だったら、みんなに迷惑かけるでしょ」(アカギより)と謙遜したようだが
これは明らかに藤野が意図的に見せたスーパープレー。

目の前にぶら下がった「決勝進出」というエサに真っ先に飛び付いた牧と
そのエサが取れる場所にいながら自分はそれをとらずに前をかばって後ろからの攻撃を防いだ藤野。

このレースは職人マーカーの熟練の技と
必要以上に欲を持たずチームプレーに徹する競輪道が堅い結果を導いた
まさに地味ながらキラリと光る好レースであった。

=参考リンク=
・このレースのダイジェスト(岸和田BBより)