2008年2月 7日

チャリLOTOの窓口販売が開始されれば拾い屋のチャンスも大幅に拡大?

浜松オートレース場内に掲示してあった張り紙。

「拾い屋行為を行った場合は処罰の対象となり、退場及び入場禁止の措置をとらせていただきます」


競輪場ではどこでも見ることのできる光景。
それが拾い屋。

ハズレ車券をゴミ箱にポイっと捨てると何秒もしないうちに拾い屋がやって来て捨てた車券を拾って行く。
そして自動払い戻し機に何度も鳴り響く機械の声。
「この車券は的中しておりません」

ある競輪場では拾って来た車券を払い戻し機にひたすら差し込んでいた人に対して近くにいたおじさんが一言
「おい!いいかげんにしねえか!」
それに対して拾い屋のおじさんはキッとそちらを睨み付けてこう言った。
「バカヤロウ!俺だって好きでこんなことをやっているんじゃねぇ!こうするより他ないから仕方なくやっているんだ!」

周りはえも言われぬ異様な空気に包まれたことは言うまでもない。
競輪場に見る人間模様は人間社会の縮図でもある。

以前私は、とある競輪場でボロボロの服を着て真っ黒な顔をしたじいさんに話しかけられたことがあった。
そのじいさんの購入する車券は1レースあたり200円。
そうすると1日当たりの購入額はわずかに2000円とちょっとな訳だが(当時)
それでも3連単ばかりを買うので、日によっては1万円札を持って帰れる日もあるのだとか。

外見はともかくとして、目を輝かせて楽しそうに競輪のことについて話すその人からは
「○番は死に目だから」などという根拠のない話をわざわざするために寄って来る人や
「○番で鉄板!」などと自分の予想をわざわざ人に言いに来るインチキ予想屋まがいのうっとうしい人
それに前述した拾い屋のように泥棒まがいのことをする人とは違う
選手を愛し、心から競輪を楽しんで車券を買っている真の競輪ファンの姿を見ることができた。

そんな中、突如持ち上がった新・重勝車券(チャリLOTO・競輪くじ)の話題。

最大12億の配当を手にすることができる可能性があるというこの新車券は
確かに宝くじ的なギャンブルとしては魅力があるのかもしれないが
一部車券では買い目が自分で指定できないなど(機械による自動選択購入)
公営競技が持つ「予想する」という一番の楽しみを一切廃した、ある意味で非常に画期的な車券であると言えるだろう。

番組にもよるが、競輪という競技は基本的に「個々の選手が勝ちを目指す」ことよりも
「ラインで1・2」もしくは「ラインで1・2・3」を決めるために走る競技であると言える。

そのため1着権利のサマーナイトフェスティバルや記念競輪(G3)の準決Cの導入時には
「こういう勝ち上がり制度は競輪には向かない」という声がファンの間から多数持ち上がっていたはずなのだが
この新車券の導入は今後もそうした日自振がゴリ押しする「アタマを当てさせる」路線を追求して行き
競輪的な競走を廃して、競輪選手をより「ギャンブルの駒」化させる方針で行く決意表明とも取ることができる。

競輪とは個々の競走を楽しむ競技であるし
勝敗に関係ない男と男の意地を賭けた戦いを楽しむ競技でもある。
前述のオジサンのようにボロは着ていても小額ながら車券を購入し各選手の活躍に一喜一憂するのが
本来、競輪の一番の楽しみであるはずなのだが
この路線では…。

ヨーイドンの競走である競馬ならともかく
競輪には重勝車券より4連単複、5連単複車券のほうが向いていることは誰の目から見ても明らかなはず。
一競輪ファンとしてはこの施策が大ハズレして損失を出すことのないことをひたすら願うのみである。

= 参考リンク =
・チャリLOTO公式サイト

= 追記 =
チャリロトは車券の偽造などを防止する観点から当面窓口販売は行わず
イーバンクによるネット投票のみでの発売となるようである。
これにより新車券の発売によって獲得できた新規のファンが競輪場に一気になだれ込んでくることはなく
競輪場は汗をかかずに利益を得ることができる算段が整った訳だが
結局のところこれでいちばんおいしい思いをするのはイーバンク銀行なのかもしれない。

偽造車券対策という名目でイーバンクに独占販売させるのも結構なことだが
本来、業界が生き残りをかけて一番やらなければいけないのは競輪場に客を入れてナマの競走を見てもらうこと。

競輪とは賭ける人が走る人に思いを託す競技。
宝くじと同じようにゲーム感覚でやれる賭け事は他にもたくさんあれど
競輪ほど走る選手に感情移入できる競技は他に存在しないのだから。