2008年3月23日
ギャンブル競輪は走る選手も勝負師であれば尚一層面白い(日本選手権競輪決勝)
日本選手権競輪の決勝は山崎芳仁・小嶋敬二・平原康多のS級S班3車による対戦。
昨年のグランプリはBS捲りで、今年の競輪祭はHSカマシで立て続けに山崎を粉砕した小嶋だったが
今度は山崎芳仁がこれまでの鬱憤に利息を付けてお返しするような豪快な走りで小嶋を粉砕。
最後はゴール線上に浮かぶ大金に目がくらんだのか、4角捲りのような追い込みで後ろから迫った渡邉晴智が
後ろの合志まで引き込んでしまったため山崎は3着に沈んでしまったが
ここで見せた全く迷いのない果敢な走りはまさに王者の走りと言うにふさわしい実に見事なものだった。
かつて全盛を誇った岐阜の山田裕仁は誰もが緊張するような大レースにおいて
迷うことなくとっさの隙を突いて早仕掛けして後ろを引き出すような競走をしたために誤解を受けたことがあったが
それは年間を通じて好成績を収めるためには攻めの勝負ができる「豪胆さ」というものも必要であるということを証明した出来事でもあった。
全盛期の山田は小嶋敬二を行けるだけ行かせて番手捲りを打つくらい情け容赦のない走りを見せていた反面
勝ち上がる術、大レースで大きな着に沈まないための術というものをよく心得ていた。
このレースで見せた山崎の走りはこれに通ずるものがあったように思えるし
それとは逆にこれまでであれば「中部の誰かが勝ってくれれば」という固い結束の下、組まれていた中部ラインが
このレースで見せた小嶋のケレン味大ありの走りを見ても分かるように
完全に瓦解してしまっていることも印象付けたレースとなった。
そして、本来であればチャレンジャーの立場であり
脚質を考えても山崎がやった走りを自分がしなければいけなかったはずの平原は
最後の最後になってようやく自分さえも届かない捲りを繰り出しただけで終了。
国内最長直線走路を持つ熊本で「あと○メートル直線があれば勝っていた」という発言からも分かるように
いまのところこの人には全くもって山田・山崎らに通ずる豪胆さのカケラもない。
このままでは一流選手にはなれても彼らのような超一流の選手になれることは残念ながら絶対にないだろう。
誰しも勝ちたいという気持ちはあるはずだし
大金を手にしたいという気持ちもあるだろう。
しかし、勝ちたいという気持ちは他の8人も持っている以上、その中で勝つというのは非常に困難を極めること。
でも、そんな中に「行けるところまで行ってやる」という果敢な気持ちで勝負をかける勝負師がいたとしたら…。
ギャンブルレーサーたる勝負師の走りをまざまざと見せつけてくれた山崎芳仁。
どんな展開になっても動じない…そして前へ前へと果敢に攻めるその豪胆さがある限り
北勢の隆盛はこれからもきっと続いて行くことだろう。