2008年4月30日
KEIRIN競走はヨソでお願いいたします(前橋F1決勝より)
前橋F1鈴木保巳メモリアルの決勝は新田祐大(福島・90期)、石毛克幸(千葉・84期)の自力2車にラインができ
藤原浩(高知・87期)は先手ラインから単騎で自力。
浮き駒となった加倉正義(福岡・68期)は自力捲りも視野に入れた自在戦で対抗するという番組。
前橋のF1ではほぼ負け知らずという超ドーム巧者である稲村成浩は
今シリーズ3日間連続して新田祐大の番手を回る競走。
新田がある程度行ってくれさえすればあとは稲村様の独壇場。
誰が見てもそう見えるこの番組は当然のように稲村からの車券に圧倒的人気が集まることとなった。
レースは誘導を切った石毛が前で新田の仕掛けを待つ展開となり
浮きゴマの加倉は新田の番手に行くことも視野に入れたような動きで新田の動向に注目する。
赤板2角で石毛が中バンクに上がって新田を牽制すると、空いたインを新田が突進。
その動きに気がついた石毛はとっさに走路に下りて一旦は新田を封じ込めるが、新田はわずかな隙を突いて再度発進する。
新田を追走してしまうと失格になってしまう稲村と加倉は離れてしまったが
新田は一切構うことなくそのまま単騎で変則的なジャンガマシで先行して行った。
単走でひた走る新田から離れた位置で石毛以下の選手が一丸となって必死に新田を追うが
その車間は一向に縮まらず、そのまま新田が押し切ってゴール。
そんな混戦の中でも加倉・稲村といった実力者がキッチリと位置を捌いて抜け出して
2・3着に抜け出して来たのはさすがだった。
本来、競輪とは単走では持たない長い距離を後ろの選手との共同作戦で力を合わせて乗り切る競技。
カマシ・捲りだけのKEIRIN的競走が台頭して4.00ギアが隆盛を誇る現代競輪においては
そんな競輪が持つ楽しさというものが薄れつつあるのが悲しい現状だが
このレースはそんなKEIRIN的なレースの典型と言えるレース。
こうした競走も穴選手がたまにやれば面白いものだが
力で押し切っても勝てるほどの力量がある選手がこれをやっても
客は喜ぶどころかただただ唖然とするだけである。
競輪とはギャンブルでありスポーツではない。
なけなしの金をはたいて車券を買いに来た客の中にここでこんなレースを見たかった人がどれだけいたというのだろうか?
決勝は残念ながらため息ばかりが出る競走となってしまったが
周回中、場内に響き渡っていた「加倉のアタマ!」という意味深な叫びだけが
その寂れた心を少しだけ癒してくれたような気がした。