2008年4月 4日

緩やかに流れる時間(築地場内・米花)

前橋競輪場では緑化フェア開催のためにしばらく車券発売もお休みのため
この日も完全に競輪から離れて観劇のために東京へ。

普段であれば車で行くところなのだが時間の都合もありこの日は珍しく新幹線で快適に移動。
前にも書いたが狭いところが大嫌いな私は新幹線に乗る時はいつもグリーン車を利用している。
休日だと人が多くて騒がしくなってしまうのだが、平日はグリーン車にあまり乗客もいないから非常に快適。
広々とした座席に座って高崎を出れば一時間も経たないうちに東京に到着してしまう。

東京に到着後は少し時間にも余裕があったので
朝ごはんを食べようと、まだまだ活気良く場内に作業員が行き交う築地市場場内へ行ってみた。

この日も有名店には長い行列ができていたが
そんな店の中には価格が高い割に味がそれほどでもないばかりか、付け合せの味噌汁にインスタントのものを出してしまうという
その店の食べ物に対する姿勢そのものに疑問を呈したくなるような店もあることから、それらは完全にスルーして
この日は初めて訪れる「米花」という店で食べてみることにした。

築地場内にある人気店、仲家や大江戸などの並びにある「米花」は本来うなぎの専門店なのだが
メニューには焼き鳥や魚などいろいろなものがあるというお店。
壁には外国人観光客に向けられたメニューがいろいろと貼られていて非常にインターナショナルな雰囲気。
少々迷ったがここはオーソドックスに刺身を定食で出してもらうことにした。

刺身定食(1500円)

やっちゃ場のメシと言うと、連想されるのは肉体労働者の食べる量に見合った「カチ盛り」のごはんが付くというイメージだが
ここ築地の場内のメシは街道沿いのトラック食堂などと比べると
「えっ?たったこれだけ?」
と思ってしまうくらいにお上品な盛りのところばかり。

大食漢な私としてはこのあたりにはいつも拍子抜けしてしまうのだが
これらの店が構内作業員向けと言うよりは観光客向けになってしまっている以上、仕方のないことなのだろう。

食べ物が出るまでの間は店主とおぼしき方が
この日の朝、この店を訪れたというタイのムービースターの写真を見せてくれた。
事前にここの店の人は英語がペラペラだとは聞いていたのだが
手が空いたそこからはなぜか旅行で使える韓国語講座の始まり始まり。
流暢な韓国語、そして日本語・英語を交えながら紙にサラサラといろいろな事例を書き留めて渡してくれた。

いよいよ料理が出る段になり、カウンターに置かれた箸置きを見てちょっとびっくりした。
なんと多量の塗り箸に混じって割り箸がほんの少しだけ差し込まれていたのだ。

間伐材を使うなどしているとは言え、割り箸は一度使ったらゴミになるもの。
聞きはしなかったが、ここも店主の基本姿勢がよく表れているところのひとつなのだろう。
一度は割り箸を手に取ったものの、よく考えてみたら塗り箸のほうを使っても何も問題はないはず。
すかさず割り箸を箸置きに戻したのち、塗り箸のほうに持ち替えて出された料理を食べてみることにした。

ちなみに肝心の食べ物のほうは全く問題のない味。非常においしくいただいた。
ただし量の割に価格がちょっと高い気もするが…
観光客相手の商売としてはこのあたりの価格が妥当なところなのだろう。

先日訪れた北九州の港にある食堂も非常に味のあるものだったが
観光地然としているものの、ここも北九州のそれとは一味もふた味も違った独特の空気が楽しめてなかなかいいところであった。

やっちゃ場の活気ある場所に観光客が入り込んでいる、ある種特殊な築地独特の空気。
こうしたその土地に生きる人の生活を感じることのできる場所で食べるごはんは
そこに流れる空気自体も他の何にも代えがたいごちそうのひとつなのだ。

= 関連リンク =
・地域に生きる人々の息づかいを感じた朝
・ザ大衆つまみ食い 2008/02/20
・おれ。 築地場内米花