2008年4月 5日

きれいで見やすい快適な競輪場ならではの苦悩(小倉競輪場)

ひさびさに電車に乗ってみたら川崎記念の告知ポスターがJR高崎駅にも掲示されていてちょっとびっくり。
前橋市の隣にある高崎市では車券を買える場所もないというのになんと太っ腹なのだろうか。
川崎と言えば油モノを売る売店が多く、地面が食べこぼし等で汚れている小汚い競輪場というイメージしかないが
この日ナイター競輪を開催していた小倉競輪場ではそのようなことは全くなく
場内のどこへ行ってもきれいな状態は保たれている感じだった。

ネットライブ等で見ていただくと分かると思うが、小倉のホーム側にある敢闘門の近くには
「清掃で魅せます」という清掃業者の横断幕が掲げられている。
同じドーム競輪場の前橋競輪場ではレース中以外はひっきりなしにバッタみたいな色の服を着た東朋産業という会社から派遣された人たちが
暇そうに金属製のトングをカチカチやりながら歩き回って車券を買う人間としては一番大切な時間を妨害してくれているが
小倉では清掃タイムを設けて決められたタイミングで清掃員を一旦客席の最前列に整列させたあと
笛の合図と共に一斉に客席の上に向かって清掃しながら上がって行くという
「一種のパフォーマンス」(作業員・談)としての清掃というものを実施している。

これであればレースの合い間という車券を買う人間にとって最も大切な時間を清掃員に邪魔をされることも少なくなるし
一斉に作業に取り掛かる様はたしかにパフォーマンスとして捉えてみても面白いものかもしれない。

これは小倉競輪の民間業務委託の際にスタートしたものらしいが
その一方で民間業務委託することによって業者が慎重になるあまり、客にとって大変不便な施策が実施されているのが目に付いた。

競輪祭の時の話だが、1レース開始前に警備員が客席最前列のフェンスに
「スタンド内飲食禁止」という張り紙を貼り付けていた。
私はとっさに「これって汚されると掃除が大変だからかい?」と警備に聞いてみたところ
「そうじゃなくて、レースをやってる最中にバンクに向けて食べ物を投げ込まれてレースが不成立になったら
施行者から賠償金をいくら請求されるか分からないから」とのこと。

前橋競輪場でも以前はスタンド内飲食禁止という既定があったような気もするが
今ではそれも撤廃され、スタンドで客は普通に食べ物を食べたり飲み物を飲んだりしているし
もちろん他の屋外型競輪場においてもそのような規定が定められている場にはいまのところお目にかかったことがない。

それに慣れている分、小倉に行った時はスタンドで飲食ができない不便さというものを非常に感じたのだが
業務を委託された民間業者としては万が一のリスクに備える意味でも
この施策だけはどうしても譲ることができないところなのだろう。

このことは前橋のように「客はバンクに物を投げ込まない」という信義則の下に運営がなされていれば何の問題もない訳なのだが…
仮に客を信頼して客のためになる施策を実施したとしても
民間企業の場合は運悪く裏切られた時の賠償金の請求というものが何よりも大きく降りかかってくる。
そして、悪くすれば業務委託指名停止。
これでは慎重にならざるを得ないのも理解できるだろう。

業務委託によって再生に向けて大きく動いている場もある陰で
このことは施行者と委託された業者が一体となって「客にとって便利なサービス」を提供できるようにならなければ
客が快適だと思えるような施設運営はできないのだということがよく分かった出来事であった。