2008年4月21日

別線が揃いも揃って山崎様の勝利をお膳立て(ふるさとダービー弥彦3日目)

今回のふるさとダービーで個人的に最も楽しみなレースとなった準決勝の11レース。

このレースは吉田敏洋-伊藤正樹の愛知ライン、井上昌己-三宅伸の西ライン
石橋慎太郎-新田康仁の静岡ライン、山崎芳仁-有坂直樹-小橋秀幸の北日本ラインに分かれた4分戦。
メンバー的にこのレースはギアを上げてカマシ狙いっぽい雰囲気を漂わせていた吉田敏洋か
卓越したスピードを生かしたカマシでここまで勝ち上がって来た石橋慎太郎の先行と見るのが普通な構成。
もちろん他のラインが出渋ればラインが長くなった山崎の先行もなくはないが
メンバー的に楽に中団を取れそうな井上がいるだけに逃げていなければ山崎の7番手は濃厚な雰囲気だ。

カマシ狙いのラインからすれば先手ラインの後ろに井上-山崎ラインを入れた上で
それを一気にカマシで叩いて井上と山崎の間に先手ラインという障害物を入れて
巻き返しにくくしてやるのが理想の展開のはず。

しかし実際のレースでは後方から吉田ラインが上昇した際にそれを井上が追わなかったことから
石橋がそれを追って上昇して行き、あろうことか迷いながら(?)先行させられてしまうという
まさかの展開でレースは佳境を迎えることになってしまった。

吉田は中団が取りたかったのか石橋を突っ張り気味に踏み上げながら石橋-新田後位にはまりこもうとするが
先手を取った石橋が鐘4角で流してしまったことから、井上に追い上げられてしまい内に詰まる展開となる。

ここで井上が追い上げることをせず、一旦吉田-伊藤の後位に入った上で
山崎を牽制してやればまた違った展開になったのかもしれないが、これにより山崎は最終ホーム実質の5番手。
しかもホームからヨーイドンの展開であれば、普通に前の動きを利用して助走をして行ってやれば
最終バックは自然と山崎のための滑走路のようなものになってしまう。

山崎の襲来に備えて、石橋の番手を回った新田は十分に車間を切って番手捲りで合わせようとするが
4.00ギアが掛かり切った山崎はそんなものでは止まらない。
後方では山崎ラインの捲りに合わせて伊藤も捲り上げて来るが全く差は縮まらず。
レースは結局北勢の上位独占という結果となってしまった。

このレースはメンバー的に山崎を潰せるだけのメンバーは揃っていたはずなのだが
結果的に吉田・石橋・井上のそれぞれが中途半端なプレーをしたことにより
より山崎の破壊力を引き出してしまうという皮肉な結果に。

競輪という競技は力がある選手のパフォーマンスをいかにして削いで勝つかという競技でもある。

スピード自慢で抑え先行が苦手な石橋に抑えて駆けさせるというのはある意味正解なのかもしれないが
そんなことをしてもレース全体のピッチは上がっていかないし、力のある者の餌食になってしまうだけのこと。
山崎のような勝負師はここぞという仕掛けのタイミングは絶対に見逃してはくれないし
このレースのキーマンと言える井上がわざわざ隊列を短くしてしまったのを見た時には思わず天を仰いでしまった。

「大ギアを踏めばたちまち足腰がダメになる」
「大ギアではスピードの変化が大きい競輪競走には対応し切れない」

そんな外野の声を一切聞き入れず頑なに4.00のギアを使い続けて
いつしか競輪界の新常識、4.00ギア神話を生み出してしまった山崎芳仁。
本来クレバーなレーサーであるはずの井上に思わず凡プレーをさせてしまうような
目に見えない王者のオーラがこの男にはあるというのだろうか?

このレースは現在の競輪競走が山崎を中心に動いていることを再認識させられるような
そんなレースだったと言えるだろう。