2008年5月15日
消え行く先行選手のプライド
競輪競走において、一旦強い先行選手を逃がしてしまえば、力が劣る他のラインはまず巻き返すことはできない。
したがって弱い選手が強い選手に当たった時はダメで元々の気持ちで果敢に逃げて必死に抵抗するのが普通であるし
強い選手の側からすれば、変に捲りに構えるよりは積極的に駆けたほうがより確実によい着を得ることができるから
弱い選手を強引に力でねじ伏せてでも主導権を奪ってレースを動かそうとするものである。
かつての先行屋にはそんな主導権は絶対に渡すまいという自力屋としての確固たるプライドというものが存在した。
しかし…そんな競輪の常識も残念ながら今や昔話になりつつあるのが現状であるようだ。
抑え先行、突っ張り先行などの旧来の地脚先行で強い自力屋が駆けた場合は
自然とラインを基本にした、いわゆるスジ車券での決着を見ることが多くなる。
しかし、カマシ・捲り全盛の今の競輪は後ろに誰が着いていようが関係なく
自力屋は自分が最後まで持つ残りの距離を計算しての一気の仕掛けを打つために後ろがうまく追走できず
捲りでもカマシでもラインがバラけて少ない点数では狙いにくい決着の仕方を見ることが多くなってしまっている。
こうした決着では自然と配当も高くなるから
3連単を100円玉で買う人が多くなっている今の時代にはピッタリの戦法と言えるのかもしれないが
最近の競輪は車券的に狙いが絞りにくいばかりか
アスリートである競輪選手なら普通に持つであろうプライドというものや競輪のラインが持つ人間的なつながりと言ったものが一切介在しない
競輪本来が持つ魅力をすべて削がれてしまったような個人競技的なケイリン競走ばかりが繰り広げられている印象があって
見ていても本当に面白くない。
今回行われた川崎競輪においても逃げなければいけない人が逃げず
そうでない選手に主導権を奪われてしまうという先行屋のプライドも何も感じさせないようなひどいレースが相次ぎ
中継の解説の人も呆れ果てたコメントをしていたのが非常に印象に残った。
一気の仕掛けが有効な現行のルールが悪いのか?
学校では横の動きを一切教えないために軽く張られただけで落ちてしまう若手選手を
マーカーが思い切ってブロックできない学校教育と現行制度が悪いのか?
ひとことで言えばいまの自力屋の競走は本当に「せこい」。
見ていて悲しくなるほどに「せこい」。
競輪界では徹底先行が絶滅危惧種になって久しいが
このままでは徹底先行の選手が本当に絶滅してしまうのも時間の問題だろう。
いつの時代でも競輪は風を切って逃げるやつが一番強い。
そんな競輪が見たいのは決して私だけではないはずだと思うのだが…。