2008年5月25日

中部の専制君主はまだまだ勝ち方を忘れてはいなかった(大垣記念)

大垣記念の初日特選は吉田敏洋-山田裕仁-山口幸二と並ぶ鉄壁の中部ラインが形成されたこともあり
吉田がある程度行ってくれさえすれば地元の雄・山田の勝利は濃厚と見られ
車券は山田-山口、山田-吉田あたりに人気が集中。

何よりも強かった頃の中部の専制君主・山田裕仁の走りをもう一度見てみたかった私は
その願いも込めて吉田を使うだけ使って番手から出る競走を想定し山田-山口から吉田以外への3連単の車券を購入。
その日の車券のプラス分を全部そこにつぎ込んでレースに臨んだのだが
肝心のこの日の吉田は主導権は絶対に渡さない競走と言うよりはあわよくば自分も残ろうという組み立て。

荻原尚人を叩くのに脚を使った吉田の先行はかからず
最終バックでは間髪入れずに捲った長塚智広の捲りに被せられてしまい中部ラインはまさかの全滅という結末。
全盛期の山田なら吉田にそんな競走はさせなかっただろうし
そんな走りをしようものならたちまち吉田を捨てて番手から出て行ってしまっていたはずだが
中部の総大将としての自覚がそうさせたのか
はたまた脚が落ちたことで後方からの長塚の捲りに対応する余裕がなかったのか…
断然の人気を集めた山田は全く見せ場なく敗れ去ってしまい、半ば呆然としながら私は家路に就くこととなってしまった。

先日行われた宇都宮記念では山田と同期の神山雄一郎が神山拓弥を行かして
シビアに番手から出る競走で勝ち上がったシーンがあったが
かつての王者もそれだけなりふり構ってはいられない状況なのだから
当然ここで山田がそういう競走で勝ったとしても不思議はないだろうと私は考えていたし
これも山田時代の終焉の序章なのかと時代の流れを感じたものだが
そのあたりはさすが山田裕仁。

翌日の2次予選では敢えて同県の原真司を使わずに果敢にHSカマシを打って逃げて存在感を示しただけでなく
準優では使えない原真司を早々に見限って中団で脚をためて捲り、長塚智広の番手捲りをかいくぐっての1着。
いかにも山田らしい走りでしっかりと決勝に駒を進めて来てくれた。

決勝は再度吉田が山田のウマ。
馬主でもある山田の馬と言えば冠名に奥さんの名前が元になったと言われる「マリン」や金星を意味すると言われる「キンセイ」が付くのが定番だが
言ってみればこのレースでの吉田は「マリン敏洋」。
このレースでは何を勘違いしたのか森田達也と桐山敬太郎が過剰に牽制し合うという展開もあってレースは完全に吉田ペース。
後方から桐山が捲ると山田は今度こそ最終3角から番手捲り(記録上は差し)を打って
キッチリと後ろの山口幸二まで引き切っての地元・大垣ワンツー。
見事、山田による山田のための大垣記念を制して見せたのだった。

日程的にこの開催は高松宮記念杯(G1)の消化試合となってしまったこともあり
メンバーがかなり落ちていたことも事実なのだが
勝ち上がりの段階の果敢な走りとずる賢い走りを見ても中部の専制君主・山田の走りはまだまだ健在。

やはりこの人が「お前なんぞが勝っても客は喜ばんのじゃ」と
中部の並居る選手達に対して声高に叫んでいるような状況でなければ競輪は盛り上がらない。
次走の高松宮記念杯では昨年の決勝での落車の鬱憤を晴らすような好走に期待したいところである。