2008年6月30日

逃げる選手がいなくなれば実力ある選手も競輪界からいなくなる

今回の前橋F2チャメットカップを最後に浦野哲(83期)・金田淳(65期)の地元2選手が引退。

クビ寸前の選手と言えば「ただ回ってくるだけ」の人数合わせ要員というイメージがあるが
浦野はそんな中でも積極的にレースを動かし、後ろの選手の勝利に貢献することもあったほど。
最後のレースも同期の百瀬匡(長野)を引き連れてしっかりと先行。
最終的に捲られはしたものの、最後まで自力屋の看板を下ろすことなく走り、散って行ったのだった。

このレースでは浦野の応援車券とも言える百瀬匡-坂本宗史の車券もよく売れた。

通常のギャンブルやスポーツでは応援する対象となる選手が勝つことを願って応援するというスタイルをとるのが普通だが
ラインという名のチームが織り成す団体競技である競輪の場合は、応援の対象となる選手の後ろを回る選手の頭車券を買って応援するなど
敢えて応援する対象となる選手が連に絡まない車券を買って応援するという競輪独特の応援スタイルというものが存在する。

「この選手ならばたとえ本人が最後まで残ることができなかったとしても果敢に主導権を取ってくれるはず」

その期待通りに選手が見せ場を作ってくれた時などは
車券を買う側の人間とすれば車券が当たろうが当たるまいが関係なく拍手を送りたくなってしまう。
なんと言ってもそれが他の競技にはない競輪ならではの魅力である。

ところが先日聞いた話では今、競輪界の内部でこうした競輪独特の魅力を削ぐことに繋がる
一大改悪プランが実施に向けて検討を続けられているというではないか。

F2開催の有り方を検討する前提として開催経費の削減と「併用発売の効率化」の効果を勘案し
・F2を1日7レース制にし、昼間開催の場合はその後の時間を場外発売に充てる。
・場外発売の選択肢を増やす為にF2のナイター開催を増加。
・F2を7車立てとし開催経費を削減。

それに伴って
・F2格において着外賞金を廃止し、G1・2・3など上位格の賞金の増額に充てる。(F2の4着以下は賞金なし)
・補充選手についてはS級については現行どおり。A級については補充選手制度の廃止の方向で進める。

…考えただけでも恐ろしくなるような実にとんでもないプランである。

もしも競輪で4着以下に賞金が出なかったとすればどうなるか?
全員が最後まで持つ仕掛けとなるぶん各選手の仕掛けは極限まで遅くなり、逃げる選手などいなくなってしまうことだろうし
そのうちに思いもよらない選手が意図的に捨て身で駆けて番手捲り。
勝った選手と捨て身で駆けた選手とが賞金を山分けするなどの作戦レースだらけになってしまう危険性もある。

一斉にヨーイドンで仕掛ける遅い仕掛けのケイリン競走は道中でゴチャつきやすく、大量落車の原因にもなるし
競輪がタテ脚のみの無味乾燥したケイリン競走になることによって番手勝負や番手の仕事というものの存在もなくなり
競輪競走が本当につまらないものになってしまう危険性も十分にある。
仮にこれが本当にまかり通ってしまったとしたら、恐らく競輪の衰退はこれまで以上に加速度的に高まって行くことだろう。

何度も言うがF2は競輪の根幹を成すもの。
S級S班を作り一部の選手だけを優遇し、対外的な見栄?のためにグランプリの賞金を1億円に引き上げる一方で
その根幹を成すF開催の賞金は低下する一方。
それをさらに削減、もしくはなくせと言っているというのだから
今は安い賞金を文字通り命を賭けて奪い合っているA級の選手達も
これではさすがにばからしくなってモチベーションが続かなくなってしまうかもしれない。

しかし、官製賭博の客はお上が決定する事項に残念ながら従うより仕方がないのが現状。
この案が実現するようなことになればまともに車券を買っているファンはこれまで以上に減り
魅力ある選手達がこれまで以上に続々と早々に競輪界を見限って辞めて行ってしまいそうで車券を買う側の人間としては実に悔しい限りだ。