2008年6月 2日
競輪のある街へ Last Stage 思いもよらぬ場所で目が覚めた日
福井から山出裕幸ロードを駆け上がり九頭竜湖駅(兼・道の駅九頭竜)にたどり着くと
そこから先の長い道のりに備えてひとまず車を降りて休憩してみることにした。
日中は暑くて半袖Tシャツ一枚で十分なほどの陽気だったが、さすがにこの時間、この場所になると肌寒い。
自動販売機で暖かい缶コーヒーを買い、それを飲みながら周囲を散歩してみると
空にはきれいな星空が広がっていた。
このあたりには雪害や水害が元となり住人が離村して廃村となった村や
ダムの建設に伴ってダムの底に沈んだ村も多数存在しており近代日本史の歴史ロマンを感じることができる場所であるし
かつてここには穴馬村(上穴馬・下穴馬)という地名があったことから
当地にある穴馬神社は稀に競馬ファンがご利益を求めて訪れるほどの隠れた観光名所にもなっているとのこと。
(ただし穴馬は「あなうま」ではなく「あなま」と読むらしい)
昨年訪れた際にはいきなり国道の脇にイチローが立っていてびっくりしたものだが

このあたりは観光地然としていない自然なおもしろさのある場所がたくさん揃っているようだ。
無料化された高規格道路・油坂峠道路を越えて白鳥(しろとり)に抜けたあとは
普段であればETC通勤時間帯割引を使って飛騨高山まで飛んでしまうのだが
今回は時間が十分にある代わりに金がないので地道に国道を抜けて飛騨高山へ。
飛騨高山と言えば古い町並みや飛騨牛・朴葉味噌・さるぼぼなどで有名な街だが
競馬ファンであれば思わず「フサイチ!」と叫んでしまいそうなこんな喫茶店やら

(ここで言うエアデールはフサイチエアデールではなく犬種のエアデールテリアをさすようだ。2008.02.02撮影)
イーグルカフェなんていういきなりジャパンカップダートを勝ってしまいそうな名前のカフェも存在するようだから
もしかしたら福井の穴馬神社同様に一部の競馬ファンからの注目度も高いエリアなのかもしれない。

(2008.02.02撮影)
街を散策するといわゆる古い町並みエリア以外にも味のある場所がたっぷり。
私の世代からすればあくまで想像の中の世界でしかない昭和の古き良き時代の空気を感じながらの散策はまた格別なものである。

今回は夜の通過ということもあり、残念ながらそれらはスルーしてそのまま国道を進み安房峠道路へ。
しかし前日1時間半程度、車中で仮眠を取った他は休憩時以外ずっと走り通しだったこともあってか
さすがにこのあたりで激しい眠気に襲われたためトンネルの料金所の横でひとまず仮眠しておくことにした。
しかしなんと目が覚めてみたらすでに周囲は明るくなっていて時刻はすでに午前5時半。
今年1月の競輪祭の帰りにここを通った時には
降り積もる雪を掻き分けて乳白色の湯で知られる白骨(しらほね)温泉に寄るなどしてゆっくりして行ったのだが

(写真右が白骨温泉泡の湯旅館内湯。空気に触れると白くなるので片方の源泉ジカの浴槽は透明度の高いお湯となっている)
今回はこのまますんなり山を下って通勤ラッシュを避けつつ
妙高市(旧・新潟県新井市)にある場外車券売場サテライト妙高に行って高松宮記念杯競輪をやることにした。
安房(あぼう)トンネル(普通車750円)を抜けた先には景勝地・上高地などもあるほか温泉なども多数。


(松本市安曇上高地・河童橋付近にて2007.10.06撮影)
思わず寄って行きたい場所がたくさんあったのだが、そのまま下山し松本の新村(にいむら)から安曇野方面へ進む。
ちなみに新村という土地は「ものぐさ太郎」さんという長野県外の人間はあまり知らないであろう昔話の主人公の出身地だそうで
ものぐさ太郎祭りというすごい名称の祭りまで行われているとのこと。
信州人独特の言葉に「ずく」という言葉があるのだが
ものぐさ太郎のお話に出てくる最初の頃のものぐさ太郎は信州言葉で言うところのいわゆる「ずくなし」の状態。
「ずく」とはものごとに立ち向かう気力や活力、勇気などを表す言葉だそうで
標準語に訳す適当な言葉がなかなか見当たらないというポルトガル語のサウダージにも匹敵する特異な言葉。
この話は「ずく」を出して頑張ればいいことがあるという教訓の意味を持った信州独特の伝承なのだろう。
長野では他にも県民のほとんどが県の歌「信濃の国」が唄えるなど
群馬県人のほとんどが上毛かるたの句を暗記しているのと同じように特異な県民性というものを持っている。
興味がある方はWeb等で詳しく調べてみても面白いことだろう。
その後は国道18号線を通って長野では有名な小布施の遊園ラスを通り過ぎたのち
せっかくの機会なので豊野から信濃町へ向かう途中の丘の上にある前から気になっていた一軒の食堂に寄ってみることに。
食堂の名は「こずえ食堂」。
周りはかなり人口密度が低い場所にも関わらずなんと24時間営業。
ここを夜中に通りかかる時などはいつも「試しに寄ってみようか」と思うのだが、ここらのエリアで有名な食堂ミサやニューミサには入ったことはあるものの
この立地で24時間営業ということもあって逆にどこか恐ろしいような気がしていままで入れずにいた。
意を決して店に入るとそこは普通の食堂。
650円から980円の各種定食を始めとして丼もの・麺類から馬刺し・ジンギスカン・酒類と100種を越えるというメニューは
見ているだけでいろいろ目移りしてしまったが、ここはオーソドックスに店名が冠せられた「こずえ定食」(780円)を注文。

なぜに「串かつ?」と思ってしまったが、肉厚も十二分にあってなかなか上等なもの。
これで付け合せのとろろがスライスではなくて摩り下ろしなら言うことはなかったが、まあまあ量的にも味的にも満足。
聞くところによるとここの食堂は豚汁が名物らしいので次回はそのあたりを攻めてみたいものだが
いかんせん8号・18号沿線には魅惑の店が多くてここに至るまでに食事が済んでしまっていることがほとんどなのが残念なところである。

程なくしてサテライト妙高に到着。
名物ハズレ車券供養箱や半径数メートル以内に客が寄り付くと即座に立ち上がって最敬礼するおねえさんは健在だったが
ただでさえ寂しかった食べ物の売店は以前よりも更に縮小傾向。
それもそのはずでここから車ですぐの場所にある道の駅あらいに行けばコンビニでも牛丼屋でも回転寿司屋でも何でも揃っている。
中には家から弁当を持ってきている人もいたし、場内のカップめん販売機で買ったカップラーメンにお湯を入れて食べている人も多かった。
これは客が車券に費やせる金が少なくなっているのと同時に飲食に使える額も減ってきているという証拠なのかもしれない。
場内では以前と同じようにレースの合間に地元の物産の紹介放送があったり
入り口横には各社のパンフレットや妙高山麓ゆめ基金の申込用紙なども置かれていた。
妙高市は燕温泉や赤倉温泉など温泉通に有名な温泉がある土地だけに車券で儲かれば「ゆめ基金」の
「温泉等の地域資源を生かした健康増進や癒し体験等ヘルスツーリズムに資する事業」というのに寄付してもいいかなと思っていたのだが
残念ながらこの日は車券が儲からず。
公共の福祉に役立つようにと寄付金を贈呈する機会も多い公営競技の選手に習って
私も折を見て小額ながら年に何度かはそうした活動を行ってはいるのだが最近はしばらくご無沙汰な感じ。
ギャンブルをやっているとどうしても私利私欲に走りがちになるが
旅の最後の最後にこうした公共の福祉に目を向けることで私利私欲に走る心にブレーキをかけることができ
それだけでも意味のある妙高行きであったと、満足しながら家路に就いた私なのであった。
= 関連リンク =
・道の駅「くずりゅう」
・穴馬の伝説と民謡
・飛騨高山朴葉みそネット
・飛騨高山イーグルコーヒー
・白骨温泉泡の湯旅館