2008年6月22日
わずか二千円の餞別(花月園競輪F2最終日より)
花月園競輪F2最終日2レースA級チャレンジ一般戦。
このレースは沓掛重慶(千葉・76期)、染谷政弘(埼玉・56期)、角掛徹雄(岩手・66期)による3分戦。
沓掛の番手を回るのは、かつてシャープな自力脚を武器にB級戦等で活躍した安孫子裕(神奈川・85期)。
私は詳しいことについては知らなかったのだが、出走表を見てふとあることに気がついた。
そう。
長い間低迷を続けていて最近では緑の服を着るのが当たり前のようになっていた安孫子が
なんとこのレースでは赤の勝負服を着て登場して来たのである。
期末の地元戦最終日のこの出来事。
それが意味するものと言えば、残念ではあるが当然ラストラン以外考えられない。
個人的に安孫子絡みの車券で儲けた記憶はないものの、安孫子と言えばかつてのB級戦おはようレースのスター。
ラストランともなればハッピーエンドを祈ってしっかりと車券を買ってあげたかったところだが
近年の成績を思い返してみれば残念ながら現状の安孫子では
沓掛にブン駆けしてもらったとしてもなんとかアタマが取れるかどうかという状況。
何度も躊躇したが、結局のところ餞別車券は安孫子アタマの2車単4点。
申し訳ないことに金額はわずかに500円づつというところに落ち着いてしまった。
レースは染谷政弘が早めに上昇してインを斬った上を打鐘から沓掛が飛び出して先行。
最終バックでは角掛徹雄が捲り、あわや安孫子の自力発動か?と興奮気味にレースを見守ったが
4番手の久保悟(群馬・51期)のアシストもあって、そのまま沓掛が後続を引き切って直線へ。
ゴール前は番手から抜け出した安孫子と3番手から強襲する櫻本勝治(栃木・32期)とのマッチレース。
あわや喰われてしまったかとハラハラしたが、最後は絵に描いたような見事なハッピーエンド。
ゴール後は場内のいたるところから安孫子への声援が送られた。
敢闘門に引き上げた後にも何度も敢闘門の奥から歓喜の声が響き渡り
やがてバックストレッチ走路まで多くの選手達が出て来た上で安孫子を胴上げ。
残念ながらウイニングランなどはなかったが
確定放送ではしっかりと「安孫子選手はこのレースを最後に競輪選手を引退いたします」とのアナウンスが入り
選手達が自発的に行った、ささやかな安孫子裕引退セレモニーは幕を閉じた。
短い間ながらカラフルなピストレーサーにまたがりシャープな走りを見せてくれた安孫子選手の走りが見られなくなるのは残念なことだが
金網越しの出会いもあれば別れもあるのが競輪というもの。
レース後は見事ハッピーエンドを演出した沓掛重慶選手の男気に感銘を覚えつつ
これまでの感謝の気持ちと安孫子選手の今後の人生がより良いものとなるよう
祈りを込めて拍手を送るばかりだった。
この日、私の人生にはまたひとつ「忘れられない競輪」というものが加わったことは言うまでもない。