2008年8月 8日
A級チャレンジ決勝が今日のメインレース?(花月園競輪F2より)
このシリーズを3連勝でまとめればA級2班に特別昇班を果たすことができる権利を持った
トリノオリンピックスピードスケート日本代表で93期在校成績1位の今井裕介(茨城)と94期屈指の先行職人・岩本俊介(千葉)が同時斡旋された上に
岩本の兄弟子であるアテネオリンピック400mハードル日本代表の吉澤賢(千葉・94期)までもが新人としては異例の追加で斡旋され
一気に風雲急を告げることとなった今回の花月園開催。
決勝にはご注文通りに今井・岩本の両名が連勝で勝ち上がり
今井は大薗宏(茨城・71期)の弟子である岩崎大和(茨城・94期)というウマを付け
岩本はこの開催で番手の仕事をこなすためにプロテクターを持参して臨んだという兄弟子の吉澤を後ろに付けるという
それぞれ前後に心強い味方を付けてのレース。
このように特進がかかった競走ともなれば普通は勝って特別昇級を決めることに主眼を置いた競走をするのが常識なのかもしれないが
彼らのような逸材であれば敢えて連勝での特進にこだわらなくても
着順そのものにこだわるよりも課題を持って競走に臨み、将来のために力を付けることに主眼を置いて戦ってさえいれば
いつかはいやでも上に上がる機会はやってくるはず。
ここでもしも岩本が今井に勝つために兄弟子である吉澤を馬に使って捨て身で駆けさせたり
後ろに兄弟子を付けたにも関わらず捲りに構えるようなことでもあれば
「こいつは所詮その程度のものだったか」と迷わず見限るところだったが、ここは期待通りに力で岩崎大和を叩き潰す競走を披露。
結果、今井に敗れはしたものの最低限の意地は見せてくれた。
しかし、岩本がデビュー以来再三に渡って見せていた
前を取って一旦引いてからタイミングを見て一気に仕掛けるという「後ろに付けるお年寄りに優しくない仕掛け」は今回も健在。
今回はなんとか番手の吉澤だけは岩本の仕掛けに食らい付いて行ったものの
わざわざ岩本のために人柱となって付けてくれた3番手以降の江本道明・本間健士は
岩本の後ろのことを全く考えない仕掛けのために最終ホームにしてすでに全くの用なしに。
今はまだ相手が弱いからそれでもなんとかなるかもしれない。
しかし、これではいくら自分だけが強くなったとしても上に上がった際に強い選手同士がラインを組んで抵抗して来たとしたら
間違いなく大きな壁にぶち当たる結果になってしまうことだろう。
競輪とはラインという名のチームが織り成す団体競技。
後ろでアシストしてくれる人がいるからこそ単走ではとても逃げ切ることなどできない距離でも押し切れるし
前を回る選手が後ろに付けてくれる選手のことも考えて積極的に駆けてくれるからこそ
後ろを回る選手も安心して前をアシストする仕事ができるのである。
この手の最近の期が大きい若手選手にありがちな自己満足の競走をしていたのでは
これから自分がいくら強くなったとしても信頼して後ろに付けてくれる人がいなくなってしまう危険性も出てきてしまう。
4倍以上のギアによる大味な競走が主流になった今でも先行の基本はなんと言っても抑え先行。
今の自力屋はゴールまでの距離を考えて、ケイリン的な自分が残るための競走をしようとするが
後ろにはしっかりと強い味方が付いてくれているのが競輪というもの。
他の自力型を抑えて先行して、コーナーをうまく使って相手の仕掛けに併せてやれば
あとは後ろに付ける強い味方がなんとかしてくれるはず。
走る度に強くなっていて、毎回その走りを見るのが楽しみな岩本だが
このレースを見ても分かる通り、まだまだ課題は山積。
あせらず腐らず、今後も競輪競走のレース感というものを着実に身に着けて強くなって行ってもらいたいものである。