2008年8月31日
ルールはきちんと説明してあげましょう(前橋F2初日より)
この日は日曜日。
本場開催に加えて向日町記念の場外発売も行われていたため
こうした日は平日からヒラ開催を打ちに競輪場に入り浸るツワモノ達とは少し違った
普通の人までもが競輪場を訪れる日でもある。
そんななか、ちょっとした騒ぎが起こったのが9レース。
このレースは甲斐康昭(群馬・89期)・三澤勝成(宮城・83期)・武藤貴志(千葉・81期)の自力3車による3分戦。

赤板で甲斐が前を抑えて先行すると

それを三澤が絡みに行くも甲斐はそれを突っ張るようにして先行。三澤は中団に引く。

甲斐の先行ペースになりそうな展開になるが打鐘過ぎから一気に踏み上げた武藤が渾身のカマシ。

人気を背負った甲斐がアッサリと叩かれて場内からは悲鳴が上がるが
叩かれた甲斐は武藤貴志の番手を回った今井有年と並走状態になりながらも必死に逃げる武藤に食らい付いて行く。

特に今井に絡まれることもなく回って来た甲斐は先行する武藤のインを突いて進行。

内を締めに来た武藤の動きを甲斐がかいくぐって

ヨッコラセと先頭に抜け出し

武藤を交わして

1着でゴール。
ゴール後、甲斐は一応審議にかかったが判定はセーフ。
到達順の通りにレースは確定した。
…と、ここまで見ると「なんで今のがセーフなんだ?」と思える方がほとんどかもしれない。
実際に本場でもゴール後からそのことで話題は持ち切りだった。
次のレースの開始前には審議VTRが流されて

このような決定的瞬間が映し出された訳だが、一部の客…というか多くの客は納得しない。
「あんなインに入ってズルをしても許されるなんておかしいよ」
「甲斐が地元だからセーフにしたんだろうけど、そんな判定は金を出して車券を買っている客に失礼だよ」
「八百長競輪なんざやってらんねぇや。はぁ、けえるんべぇ!」
(群馬語訳・八百長競輪なんてやってられないよ。帰ろうぜ!)
実際のところはルールも知らないで文句を言っているおじさん達もいけないのだが
それを分かりやすく説明するようにして同じ騒ぎを二度と起こさないようにという考えのないお上の対応はもっと悪いようにも思える。
このレースは赤い線が示す通りに
先行する6・武藤(緑)が外帯線を外した瞬間に
2・甲斐(黒)が6・武藤の後輪の位置に前輪を差し込んでいたために走路は2・甲斐の有権走路に。

その後、インを締めに来た6・武藤を避けようと2・甲斐は走路の内側に避けながら6・武藤をイン捲り。
本来であればルール上、この時の走路は甲斐のものになっているため
インを締めに来た武藤は「みだりに走路に進入してはならない」扱いの選手ということになる。
したがって大きく内に避けた甲斐はあおりを受けたやむを得ない走行ということになり
大きくインをカットする走行も全く問題はなし。
今回のものはルール的に100パーセント正しい判定であるし
いつぞやの香川雄介事件の時のように「審議の赤旗があがらなくてもおかしくはない程度」のもの。
なので確かにこれが「競輪のルールだ!」と言い切って突っぱねるのも結構なことなのだが
ルールを知らないことが原因でこれに納得しなかった客はもしかすると二度と競輪をやらなくなってしまうかもしれない。
次のレースから4コーナー審判員が審判塔に上がるたびに4コーナースタンドの客から浴びせられ続けた痛烈な罵声。
「テメーみてえなインチキ審判が審判なんかやってるんじゃねえ!早くそこから降りろ!」
審判は赤旗をあげて一応審議にあげないと客から文句を言われてしまう。
しかし赤旗をあげてしまうと選手や他の審判から「あんなのをいちいち審議にあげるなよ」と言われてしまうかもしれないし
今は審議にかかったプレーはパトロールビデオを公開する決まりになっているから
もしかしたら映像制作会社の人からもブーイングが出てしまうなんてこともあるのかもしれない。
悪いのは審判でも客でも選手でもルールでもない。
定期的に各地の競輪場で起こるこの手の騒ぎに対して
いいかげん何かの対策を施してやってもいい頃なのではないかと個人的には思うのだが…。
競輪場はもっと客にルールを知ってもらうための工夫を。
もともと競輪というものは誰かにルールを教えてもらったことがきっかけで始めることの多いギャンブル。
細かいルールを教えてもらうことによって今よりもっともっと競輪が楽しくなる可能性も十二分に秘めているのだから。
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