2008年9月15日

スポーツケイリン競走の限界(一宮オールスター競輪決勝より)

今回の一宮AS決勝には競走参加直前にネット上において

「競輪を現在の9車立てのものから6車立てのケイリンにすれば選手数も3分の1に減らすことができ
その分浮いたお金をG1などの賞金に上乗せすれば選手やこれから選手になろうという人の励みになり
明るい競輪の未来が見えて来るのではないか?」

という驚くべき持論を実名で展開したとされる小嶋敬二が勝ち上がったほか
内田慶の弔い合戦に燃える神山雄一郎やそろそろタイトルが欲しい佐藤友和・新田康仁も決勝に乗り
抜群の連携実績を誇る山崎芳仁-伏見俊昭のところ以外は人気が割れるレースとなった。

山崎・伏見・佐藤・有坂と4人が乗った北日本勢はそれぞれ同支部同士で連携し別線を選択。
メンバー的にそろそろ佐藤友和に獲らせてあげたいという気持ちはあっただろうし
グランプリを見据えて伏見が勝っても佐藤が勝ってもやりやすくなる北日本勢は当然のように山崎が後ろを引っ張る流れ。
レースは山崎が先行、中団に新田、後方に小嶋・佐藤という
おおよそのファンが普通に想像した通りの展開となって勝負どころを迎えていった。

予想通り中団を取りに来た新田に絡むよりは、引いて巻き返しの機会をはかったほうがいい小嶋は後方に車を下げ
小嶋は前が緩めば躊躇なく仕掛ける選手でもあるし、その動きをうまく利用すれば自分で位置取りをしなくてもチャンスは巡ってくると考えたのか
佐藤友和は何もせず小嶋ラインの後ろから8番手の競走。

すんなり中団につけた新田は後ろに初日の競走で亡くなった内田慶の弔い合戦に燃える神山雄一郎が付けているとは言え
新田自身も悲願のG1タイトルがどうしても欲しい立場。
たとえ自分が勝てなかったとしても神山に勝利のチャンスがあるような早めの仕掛けを新田に望んだファンも少なくなかったことだろうが
結局新田はBSの立ち上がりで小嶋敬二が早めに巻き返すと中団の新田は先捲りを打たず
ギリギリまで小嶋の捲りを引き付ける競走をして、結果的に北日本勢をアシストするような競走を展開。
結果、レースは本当に前々だけの非常に面白みのないすんなりとした決着となり伏見が抜け出して優勝した。

全く見所なく敗れたファン投票1位の小嶋敬二。
自分さえも届かない捲りで僅差の3着を拾い、勝つことよりも賞金加算だけが目的だったと言われても仕方がないような競走をした新田康仁。
最終的に容赦なく差し込んで来るであろう後ろの有坂を気にしすぎたのか何もせずに終わってしまった佐藤友和。

このレースは多くの選手が自分が勝つことだけを目指した結果の本当に味気ないケイリン競走。
そんな「自分だけが勝てればいい」という選手達が軒並み脚を余したまま競走を終えた中で
唯一力を出し切った山崎芳仁は本当にすばらしいギャンブルレーサーであると言えるだろう。

このレースを見て山崎以外を「すばらしい」と称えるファンがどれほどいるというのだろう?
確かに内田慶の死亡事故が発生した折には自ら開催の中止を主張しておきながら
ちゃっかり優勝して見せた伏見俊昭の持つ強運というのはすばらしいものがあるだろうし賞賛されてしかるべきものであるとは思うのだが
市井のいちファンとしてはG1の決勝でこんな面白みのない競走を見せられたのでは
競輪ファンがどんどん去って行ってしまうのではないかと逆に心配になってしまう。

冒頭に挙げた小嶋案がもしも採択されるようなことがあれば
長い間ファンが愛し、選手が追求し続けた「競輪」というものが崩壊し、今回のレースよりももっと単調な競走が展開されることだろう。

ある人はこの小嶋本人が書いたとされる書き込みを見てこう言った。
「これが小嶋本人の書き込みではなく第三者が本人になりすました書き込みであることを祈りたい。
仮にもS級S班のトップ選手が競輪の歴史を否定し仲間を路頭に迷わせるようなことを考えていたなんて競輪ファンとしては考えたくもない」

選手数を3分の1に減らして競輪をスポーツケイリン化すれば開催経費が大幅に減らせるほか
車券の売り上げもそれ以上大幅に減らすことができるはず。

今の競輪は選手が意地汚く着拾いをすることを前提に展開を考えるマイナスの競輪。
だから車券を買う側も100円玉で広く浅く車券を買うような宝くじを買うような買い方しかできず
車券が外れても胸が熱くなるような競輪なんてめったに見ることなんてできやしない。

JKAが積極的に進める競輪のスポーツケイリン化構想は
確実に競輪をロマンのないものに変えて行き、選手にとってもケガなどのリスクの大きいものに変えてしまっているし
本来全く性質の違う競技を無理矢理同じものに結び付けようとする考えからしてどうかしている。

野球とソフトボール、競馬と乗馬が全く違うスポーツであるように
競輪とケイリンは全く違うギャンブルとスポーツなのだから。