2008年10月 2日
ラインの先頭を回る者の責務(西武園F1より)
先行選手と言うよりは自在に立ち回る選手という印象の強い武藤貴志(千葉・81期)がよく動いている。
数字だけ見れば大きな数字が目立つ近況であるためか、新聞にも「状態に不安」と書かれていた武藤だが
最近の走りはまさに先行選手そのものの走り。
競輪においては一番弱い自力屋が逃げなければお話にならないが
多くの選手は大きな着を掴んで競走得点を下げるよりは仕掛けず流れ込みで中間着を狙うケースがほとんど。
そんな中でどうせ敵わないのならばと思ってか積極的に動き出した最近の武藤の走りは
結果はさておき数字以上に確実にレースを動かし続けている。
今回の西武園も1日目・2日目と1レースを走り、共に先行しての9着2着。
現在の平均競走得点ではA級1・2班戦が前座となるF1戦においては
参加選手中最も得点の低い選手が着ることになる1レースの6番車が定番となってしまっている感じだが
確実に頭数合わせの468(ヨーロッパ)以上の走りを見せ続けていて
武藤の後ろを回る選手はもちろんのこと、本人の連対も車券的に考慮しないといけない状況が続いている感じだ。
「競輪はラインという名のチームを組んで戦う団体競技」
自分の力では勝てないと見れば、逃げて後ろを回る選手を少しでもいい着に導くことがラインの先頭を回る者の最低限の責務。
勝てないレースでは最初から中間着を狙いに仕掛けず流れ込み狙いに徹するというのもある意味競輪らしいと言えることも確かなのだが
選手が勝負せずに意地汚く着を拾いに行くばかりの競輪などは見ていても面白くもなんともないし
不思議なことにレースのグレードが上がれば上がるほどに「選手はみんな意地汚い人間」だと
最初から決め付けてから予想を組み立てなければならない現行の競輪では
予想を組み立てる段階ですでに気が滅入ってしまうことも決して少なくない。
現在のそんな情勢の中でラインの前を回る者としての最低限の責務を果たしレースを動かし続ける武藤の走りは実に立派。
「どうせ敵わないなら、開き直って死ぬ気で駆けてみろ!」
こんな選手がいてくれるからこそ、競輪は面白い。