2008年11月12日

ふざけんなよ!5-8にしろよ(西武園F2初日より)

西武園F2初日8レースは阿部利光(宮城・77期)、鈴木浩一(静岡・72期)、関靖夫(埼玉・70期)による各ラインに
溝口和人(神奈川・85期)が単騎で挑む実質的な4分戦。
車券はラインが3車と長く自分の勝てるところから仕掛けられそうな阿部利光に人気が集まったが
後ろに大荷物(?)を背負った鈴木浩一としても後には引けない一戦。

レースは赤板で上昇した関が一旦前を切って打鐘で後ろの仕掛けを待つ展開。
流れで先に引き出された鈴木浩一が鐘3角で先行態勢に入りスローペースに落とすと
阿部利光がタイミングを計って最終ホームからカマシ気味に発進して阿部が一気に叩き切るかと思いきや
前で後ろの仕掛けを待った鈴木も一気にスパートをかけて両者はまさかの叩き合いに。

その叩き合いを尻目に最終バックから鈴木ラインの後ろにつけて様子を伺っていた5・溝口が捲って出てその動きに乗る4・関靖夫。
これには打鐘を前に一旦前を切ったものの結局は後ろを引き出したのち引いてしまった関を見て
「この八百長野郎が!」と叫んでいた最前列に陣取ったおじさんもこの展開に大興奮。

「5-8!5-8!5-8!」
3角で前団を捲り切った5・溝口が止まらず、4・関が5・溝口の山を乗り越えるのに脚を使う流れであれば
その後ろの8・新井憲(埼玉・59期)が抜け出して来て5-8という読みだったのかもしれないが
溝口の捲りに乗った関は焦って早めに前を抜きに行くことなく落ち着いて溝口のスピードが鈍った最終4角から番手発進。

その結果、直線では見事に抜け出して1着。
2着には新井憲が続き、3着には最終的に阿部を叩き切った鈴木の動きを利した村松昇が入線し
BSから捲って出た溝口は4着に沈んでしまったのだった。

幸運にもサラ脚のまま4角番手が回ってきた関は
子供の頃から競輪を見続けてきて選手になった英才教育や歴戦の経験が身を結んだのか
焦って溝口と被ることもなく冷静な判断で抜け出して楽勝。
スタンドの最前列からは「ふざけんなよ!5-8にしろよ!」という声も聞こえてきたが
ここは落ち着いた仕掛けで後ろの新井憲までをも引き込んだ関の好判断を褒めてあげたいレース。

ウイニングランに登場した関は
「あいにくの雨になってしまいましたが、これからのレースにもご期待ください」と自分の競走よりも興行的な面を意識した挨拶のあと
「男・関靖夫はまだまだがんばります」と力強く宣言して客席のファンを喜ばせた。

これまでにない形のファンサービスを追求し続ける埼玉選手の中には
足並みを揃えようとせず自分の競走のことだけを第一に考えるトップ選手もいるのは残念なことだが
この関選手はこの開催の前検日の前々日にあたる日に行われたサイクルフェスタのトークショーにも出演し
興味深い話を聞かせてくれたすばらしい選手。

展開が向いたとは言え持ち味のタテ脚が生きる流れを呼び込んだ巡り合わせの良さは
英才教育に裏付けられた本人の実力はもとより、このような熱心な選手であるからこそ競輪の神様が味方してくれた結果そのものなのかもしれない。