2008年11月 9日
サイクルフェスタ'08 in 西武園競輪場
この日はサイクルフェスタの見学のために埼玉県所沢市の西武園競輪場へ。
本日に限り無料開放された駐車場に車を停めて
いつものように場内にひとつしかない競輪場の出入り口を目指して進んでいったところ
入場門前の円形広場にはすでに多数の人が集まって開門を待つ状態となっていた。
開門まで数分の間、広場の片隅で待機しながら
スポーツ新聞から抜き取った競輪欄を片手にネット投票をしていたところ
後ろにいた係員が「開催があると勘違いして来てるヤツが多いですね」とポツリ。
「それは単に君達の告知不足が原因でしょうが」と突っ込みたくなる気持ちを抑えつつ場内へ。
今回のイベントのメイン会場となったバック側スタンドに向かって行くと
すでにバック側のフェンスは開放されていてバンク内に設置された特設ステージのほうに客が入って行けるようになっていた。

まずは今回のサイクルフェスタを主催した
NPO法人日本スポーツ振興会理事長・川本龍司郎選手(東京・82期)による開会の挨拶。

今回のこのイベントは現役競輪選手を主体としたNPO法人がイベントを主催しJKAからの助成金を受ける形で実施された画期的なイベント。
埼玉の競輪場ではこれまで地元の選手が開催中に自発的にイベントを実施して現役選手と地元ファンとの交流を深めてきたのだが
近年は業務委託を受けた日本トーターの進出によりせっかくこれまで地元選手達が築き上げてきたその流れも一切断ち切られてしまい
こちらの競輪場に顔を出す機会の多い私としては非常に歯がゆい思いをしていた。
が…これを機にまた埼玉選手会(西武園クラブの東京選手も含む)のお家芸とも言える
「客にモノを配給するのではなく、これから競輪をより一層楽しむための無形の材料を提供する」
そんなすばらしいファンサービスが復活してくれることを切に願いたいものである。
イベントは工藤わこさん、武田あかりさんの司会によって進められ
まずは忘れた頃にやって来る捲り一発が魅力の関靖夫選手(埼玉・70期)と
魅力ある選手が揃う85期の在校ナンバーワンのエリートで最近は追い込み屋としての地位をしっかりと確立し始めている
新井秀明選手(しんいひであき・埼玉・85期)によるトークショーが行われた。

父親の新井正昭選手がタイトルホルダーで今もなお現役選手として活躍し
兄の新井剛央(しんい・たけひさ)選手も現役選手として活躍するシンイ選手に対して
関選手も子供の頃から競輪好きの父親に競輪場に連れて行かれ英才教育を施されたという一種のエリート。
最近はBMXに魅せられて競輪の練習と並行してBMXの大会にも出場し
今年から全プロの競技種目にも加わり開催された今年の全プロBMX競技では優勝した稲川翔(大阪)に次いで2位の成績を収めたという関選手。
今後も持ち味のタテ脚を生かした競走で末永く活躍していただき、我々競輪ファンを楽しませていただきたいものである。
続いては競輪界のプリンス・伏見俊昭選手の登場。
グランプリ制覇など、とにかく賞金の高いレースに強い印象でお金持ちの印象が強い伏見選手だが
意外にも吉野家にも行けばマクドナルドにも行く庶民派なのだとか。
ナショナルチームに在籍していた頃は食べ物も栄養士が管理していたが今は自由とのことだが
一人暮らしなので外食も多いがきちんと自炊もしているのでジャンクフードばかりを食べ過ぎて体を壊すという心配はないとのことだった。
伏見選手と言えば前橋競輪場で行われたシドニーオリンピックの代表選考で稲村成浩に0秒2差で敗れて落選。
がっくりとその場で倒れこんだシーンが思い出されるが
その後帰宅する車内で無言のまま涙を流す伏見選手をなぐさめようと
同行した後輩選手が直接白河には帰らず、途中の宇都宮で思う存分飲みましょうと提案。
朝まで宇都宮の街で飲み明かして挫折を味わったからこそ今の自分があると語った伏見選手。
この日はマネージメント会社のマネージャー(専属ではないらしい)が同行して身の回りの世話をしてくれたとのことで
これからは中野浩一に続く次代の競輪界を担うタレントとしての活動のほうにも期待がかかるところである。
その後、イベントステージではお子様向けのイベントが開催されたため、ステージ前のスペースは「ちっちゃいお友達」と交代することに。

退出する際にフェンス際にズラリと並べられたベビーカーの列を見てビックリ。
この日は場内放送で迷子のお知らせも流れていたしたまにはこういうのも悪くない感じ。
そういえば競輪場で迷子のお知らせなんて十年ぐらい聞いていないような気もするが…。

イベントのハイライト山本高広のショー実施時のバックスタンドはこんな感じ。
入場者は2220人。
競輪開催時の入場者数を考えればこの数字でも上出来と言えるのではないだろうか?
この日行われた現役競輪選手によるエキシビジョンレースは予選2レースとその上位選手による決勝戦の全3レース。
出走メンバーは入場時に配布された紙に記載されていたものの、並びの情報は一切なし。
しかも優勝者当てクイズは並び情報なしの予選2個レースの出走表のみで決勝戦の優勝者を当てるというかなり無理があるものだった。
係員に並びの情報はないのかと聞いてみたところ
今回は「あくまで競輪を知らない初心者向け」という趣旨だそうで並びの提示は敢えてなしにしたとのこと。
しかし現代競輪では並びの情報は出走表とワンセットの車券を占う上でどうしてもなくてはならない重要な要素であるし
レースはしっかりとライン戦で行うというのに、それを敢えて並びを提示しないということになれば
それこそ初めて競輪を見る者に「競輪は意味が分らない」というマイナスイメージを逆に植えつけてしまうことにはならないだろうか?
「金がかかってねえし、テメーらの好きなように走りやがれ!」
競輪ファンのおじさんがそう叫んでいたように競輪が持つ最大の魅力とも言える
レース内容を読んで結果を予想するというプロセスが省かれてしまったのは非常に残念なことだったが
レースに出場する各選手が発走機につく前に場内を一周する間に選手のプロフィールや人柄などが分るような解説が行われ
観客が集うバックスタンドでは選手が客席に向かって手を振るなど様々なアピールを実施。
競走を走る選手ひとりひとりに興味が持てるような演出は実にすばらしいと思った。
予選第1レースでは打鐘で先行態勢に入った6・小笹慎太朗を7・木村圭吾がホームカマシで叩いて先行。

それを最終バックから1・馬場喜泰が捲って西武園クラブ会長・田淵浩一が差すという絵に描いた様なレース。

見事ワンツーを決めた二人は手を取り合って凱旋。場内からは大きな拍手が送られていた。
結局エキシビジョンレースの優勝は西武園クラブ会長の田淵浩一選手。
表彰式はバンク内に設けられた特設ステージで行われたが、今回は公正なレースが求められる普段の競輪競走と違って
競輪未経験の人や競輪ファンに競輪競走を楽しんでもらおうというイベントであるし
表彰式はフェンスの向こう側の遠い場所でやるのではなく、ぜひとも客席の真っ只中でやってほしかったところ。
その後バンク内ではフリースタイルBMXのトリックなども披露されたが
やっているのはこれまたバンクの走路保護の観点からか退避路の内側という客席から遠く離れた場所。

とにかく距離が離れすぎているためにバンク内と客席の温度差は大きく
中で勝手に何かやってるな的な印象は残念ながら否めなかった。
この日レースやイベントの内容よりも何より一番感心したのは
今まで客から「汚くてレースが見えない」と散々クレームが来ても意地でも清掃及び張替えをしなかった
ポリカーボネート緩衝フェンス(競輪場での通称・アクリル板)がきれいになっていたこと。

本当は誰から言われなくてもこうするのが当り前のことだと思うのだが…
それすらできない場が少なくないのが競輪場というところ。
これでようやく西武園も少しはまともな競輪場としてレベルアップできたということなのだろうか?
その後はBS裏で松戸のLove9のボス「モト西沢」氏による自転車を使ったエクササイズ教室も行われたほか

その横では遊具や変り種の自転車試乗会、それにセグウェイの試乗会なども行われ
普段競輪場になど来る事もなさそうな多数の親子連れがそれらのイベントを楽しんでいた。
しかし、私はそこで残念なことにあり得ない光景を目にすることになる。
普段は乗れない乗り物に乗って子供が喜んでいる姿を母親が写真に収めているその陰で
補助をしていたスタッフがなんとガムを噛みながら対応していたのである。
わが子を収めた記念のその写真にガムを噛みながら対応する係員の顔が写り込んでいないことを願いたいところだが
接客及び補助に当たる係員がその仕事中にガムを噛みながら対応するなどということは
「あってはならないこと」というレベルのものではなく「普通では絶対に考えられないこと」。
本人には「相手がどうせ子供だから」とか「なんで俺がこんな作業をしなきゃならないんだよ」という気持ちがあったのかもしれない。
しかしその様子はしっかりと子供も見ているし、その子供の親も見ている。
それではそれこそ「競輪場というのは一般的な常識の通用しないあり得ない場所だと思ってくれ」と言っているようなもので
その光景を見て私は一気に楽しい気持ちも萎えてしまった。
一緒にその光景を見ていた人も「きっと集中力を高めるためにガムを噛んでいるのでしょう」と呆れた様子。
イベントの終了間際にそのガムを噛みながら接客をしていたスタッフの姿を見つけたので
「競輪場のスタッフがそんなことをするなんて競輪客として恥ずかしいよ!」
…と抗議をしておいたが、その抗議がスタッフの心に響くことは残念ながらないようにも思えた。
今回のサイクルフェスタは想像していたよりも楽しめたいいイベントであったがその一件ですべては台無しに。
西武園競輪場は施設としてもきれいで見やすく快適ないい競輪場だと思うのだが
多くの競輪客から嫌われているように場を構成するスタッフの意識が見事なまでにズレまくっている競輪場。
来月に行われる全日本選抜競輪でもこんな調子でやっていて本当に大丈夫なのか…?
いち競輪ファンとしてはとても先が思いやられる本当にガッカリさせられたあり得ない出来事だった。