2008年12月16日
重注・走注なんていらない
過日とある競輪場で競走を見ていたところ
先行したラインの番手の選手がホームから仕掛けてきた別線の自力屋をブロックして止めたあと
BSから更に別線がモコモコと捲ってきたのを今度は完全なる番手無仕事でスルー。
それを見た瞬間私は「あぁ、あの一回目のブロックで脚を使ってしまったから2度目は何もできなかったのか…」と思ったのだが
その別線の捲りを無仕事でスルーをした番手の選手は2車に捲られた直後
すぐさまその2車の後ろに切り替えるようにして追走して行き、直線で鋭伸。
2度目の捲りが飛んで来た時に何の仕事もできなかったのは
決して脚がなくてブロックに行けなかった訳ではないことを見事に証明して見せてくれたのだった。
この選手が2度目のブロックに行かなかったのは明らかに事故点の関係から。
一旦審議にかかったあとで判定される失格とは違って
重大走行注意・走行注意は一見表向きには分からないためにあまり目立つことはないのだが
これが容赦なく1レースに何度でも同じ選手に降り掛かって来てしまう可能性があるのだからたまらない。
一部の競輪場ではレースが終わった後に場内に詳細な競走成績表を掲出してくれる場もあるが
その結果欄に記された重大走行注意(いわゆる重注)と走行注意(いわゆる走注)の表示を見て
驚いてしまわれた方も決して少なくないのではないかと思う。
ホームでカマして来た別線を番手が張って重注。
更にBSで捲って来た別線を番手が張ってまた重注。
BSで捲った選手は強烈なブロックで止められたがその後ろに付いた追い込み屋が内側にいた選手を決めて好位を確保した上で
直線追い込んで抜け出すもまたその行為(外帯線内進入)が重注。
見た目では先行した選手の番手を回った選手が2度に渡って強烈なブロックを繰り出して別線を止めるといういい仕事をして
勝った選手も目標とする選手が捲り不発も自分で位置を取り切った上で直線抜け出すという
競輪の醍醐味のひとつでもある番手の仕事と直線でのスリリングな差し・差しの攻防が繰り広げられたすばらしいレースであっても
実は中身は内部制裁点だらけという惨状。
しかもその重注・走注はkeirin.jpの結果欄に記載されることもなく公示されたとしても場内の目立たぬ場所に張り出される紙切れに書かれるのみである。
(現在keirin.jpで公表されているのは失格点とたまに公表される内部制裁累積点過多の選手名と点数のみ。
競輪場で配布されている出走表には累積点等は記載されず専門紙にも近況4ヶ月の重注・走注の回数が記載されるのみ)
更に選手はその内部制裁点が累積過多になれば強制的に競走訓練に参加させられたり
悪くすれば斡旋停止という事実上の停職状態にされてしまったり、強制的にお寺で修行をさせられたりして
調子を維持するのが大変な状態にされてしまう訳だがそれらにどの選手が何月何日に参加させられたかという公示も一切なし。
そんなに重注・走注を公開・集計・公示したり競走訓練やお寺行きを公示するのがいやならば
いっそのこと重注・走注なんてやめてしまって失格だけに一本化してしまえばいいのにとさえ思えてきてしまう。
競輪選手の走行は累積点6で免停となる車の運転免許のような違反点数制度で押さえつけられている。
累積120点で斡旋停止1ヶ月だから失格がなくとも強烈なブロックや強引な捌き12発で
斡旋停止なんて考えてみればおかしくはないだろうか?
観客が熱狂するすばらしいプレーの陰にはいつも内部制裁という暗い影が差す。
競輪場の片隅で時々耳にする客同士のこんな会話。
「あいつ番手の仕事しねぇなぁ」
「うん。きっとそこまでやれる脚がないんだろうな」
そうじゃない。
「選手も生活が掛かっているから番手の仕事をやりたくてもできないこともあるんだ」なんて
競輪という世界は実に夢のない世界だとは思わないだろうか?
= 関連リンク =
・競輪分析所blog 重注に関するログ
・競輪雑考 競技規則、制度の変遷と落車
・keirin.jp 競走中の違反行為に伴う制裁について