2009年2月15日
すばらしき競輪競走(高松東西王座決勝)

最近前橋競輪場の駐車場が随分混んでいたり、競輪場付近でおおよそ競輪場では見かけないタイプの人を見かけるのは
グリーンドーム前橋(前橋競輪場)のサブイベントエリアで「大三国志展」が行われているせい。
私も実を言うと小学生の頃から横山光輝三国志全60巻を揃えたり、KOEIのゲーム三国志をパソコンでひたすらやり込んだりした
筋金入りの三国志好きだったりするのだが
最近はまた三国無双などのゲームや映画のレッドクリフの公開などもあって人気が再燃しているのだろう。
しかしもちろんこの日の目的は大三国志ではなくて高松東西王座の決勝戦のほう。
東西王座の決勝の車券は迷わず、東のほうが後ろに南関東勢がズラリと並んだ海老根恵太の先行と
西は展開上有利にレースを進められそうな山田裕仁にもしかすると展開が向くかもしれない三宅伸の頭が押さえ。
西王座のほうは道中で私が車券を買った両者が擦れ合う展開に全米が泣いたが
東王座のほうは海老根が先行して見事にそのまま押し切って優勝してくれた。
デビュー以来、一貫して逃げて脚を作って来た海老根だったがS級上位の選手となってからは
いつしか一介の捲り屋に成り下がってしまい捲りがツボに嵌れば滅法強いが、気がつけばレースではいつも後方のまま。
ひどい時は人気を背負っているというのにレース実況の画面に入り切らないほど後方に置かれてしまったことまであったほどだった。
そんな海老根が目に見えて変わって来たのは昨年の西武園全日本選抜の時だ。
空いたインをすり抜けての番手斬り込みや早め早めの仕掛けで見るからに闘志が伝わってくるような走り。
そこには単なる捲り屋である海老根の姿はなく
捲りを封印してひたすらに逃げて脚を作り上げていたデビュー当時のように闘志がみなぎっていたようにも見えた。
聞いたところによると地元開催で不甲斐ない競走をした海老根恵太に対して師匠の森下太志選手が
「競輪は気持ち次第」だと叱ったところ、その時は「そんなに怒ることないじゃないですか」と反発したという海老根だったが
実際にそうして気持ちを前面に出した競走をしてみたところ、前述の全日本選抜優出にも繋がったことから
「やっぱり競輪は気持ちですね」と後で本人もようやく納得したのだとか。
海老根選手と初めてお会いした際には、いい人であることは間違いないのだろうが
A級時代に競輪場で見た姿とはかけ離れていて失礼ながらそのぬぼーっとした雰囲気からは覇気というものが全く感じられず
競走を見てもただ後方に置かれて勝つのも負けるのもそれが「良くも悪くも海老根の走り」だと思って見ていた。
以前の海老根であれば今回の決勝のように海老根-武井-ハルトモ-村本という重厚なラインで走ったとしても
ラインの厚みを生かす競走をするのではなく「どうせ引いても6番手はあるから」という競走をしたことだろう。
しかし今の海老根は違う。
ここでも武田を制してキッチリ後ろを引いて見せたし、後ろも番手の武井と3番手のハルトモが共にブロックに行き
4番手の村本がインを締めるというすごい競走でそれを盛り立てた。
この優勝はライン全員で勝ち取った勝利。
西王座決勝のほうは良くも悪くもラインの重厚さなど一切感じさせないケイリン競走となったが
東王座決勝の競走はこれこそ「ザ・競輪」そのもの。
行き当たりばったり・展開次第・番組次第の競走も確かに競輪と言えば競輪なのだが
こうした走る側の選手の気合いや心意気が伝わってくる競走は実にすばらしい。
競輪は先行屋がきっちりと後ろを引き連れて駆けないことには番手は仕事ができないし
3番手を回る選手も番手の選手が仕事に行っている間に空き巣に入られないよう
自分を犠牲にしてまでじっと内を締めている意味がない。
先行屋がしっかりと仕事をこなしてこそ、初めて番手・3番手・4番手はキッチリした仕事ができる。
いつの時代もレースを動かすのも、後ろを動かすのも、後ろを回る選手の気持ちを動かすのも…
すべては先行屋次第なのである。
= 参考リンク =
・勝手にスポーツコメンテーター森下太志編「ありがとうございました」