2009年3月14日

カミヤマ≠カガヤマ(前橋競輪F2二日目より)

昨年の松戸記念の際、選手会千葉支部ファンサービスイベント要員として登場し
場内に設けられた特設テント内でひたすらローラーを転がしながら客とお話をするという役回りを演じた加賀山淳(千葉・94期)

学生時代はバスケットボールをやっていて身長は190cmと大柄でとても目立つ存在の加賀山だが
その直前に松戸でデビューしたにも関わらず
寄って来た客からは「神山拓弥?」とか「加美山隆行?」と間違われてしまう始末。

たまりかねた私が「お父さん、せっかくの地元の期待の星なんだから名前ぐらい覚えてあげてよ」と寄って来たおじさんに話し掛けると
おじさんは「そうだよな。よし、もう名前覚えたからここで走った時は声掛けるからな。きちんと返事ぐらいしろよ。」
そう話し掛けられた加賀山は「はい」とニッコリ。

その後、話が同期・同県の岩本俊介の話に及ぶと
「あいつは組み立てがうまい。僕は組み立てがヘタ。これからはそういうことも勉強して行きたいです。」
まだ選手としての荒波にもまれる前のピュアな状態の時期ということもあったのだろうが
人当たりもよい好青年の加賀山の回りには常にたくさんの人たちが集まって来ていて人気も上々。

それ以来私も、いつの日か加賀山淳が
「カミヤマタクヤ」や「カミヤマタカユキ」以上に有名な選手になる日を楽しみにしながら見守っているところなのだが
前回の前橋で落車したばかりか休場明けの奈良でも落車。
今回も初日は中途半端な組み立てで最終周回を迎える前に勝負圏外。
最後はなんとか4着に流れ込んで準決勝への勝ち上がりを決めたが
その準決勝の相手は派手さはないものの前日圧倒的な強さで勝った緑川修平(福島・95期)。
番組的には完全な大本命のアテウマ的存在にされてしまった。

このレースの緑川修平→岡田哲夫の2車単は1.5倍と圧倒的な人気。
自力同士の緑川→加賀山でも7.0倍の支持があったものの
その裏の加賀山→緑川は22.1倍、加賀山からスジの高梨智への車券が62.1倍と
人気の上では「加賀山なんかが緑川に勝てる訳がなかんべ」(群馬語風)的なオッズが形成された。

しかしここは前橋ドームバンク。
圧倒的なスピードの違いがあればライン2車でも3車でも、捲ってそのまま上空を素通りしてしまえるバンクだが
スピードに乗り切らない状態で日本最大斜度を誇るコーナーの山に入って行けばたちまち失速してしまうように
仕掛けどころは非常に限られていて、力がある選手も仕掛けどころを誤れば軽く沈んでしまうという恐ろしいバンク。

レースは赤板で先行態勢に入った加賀山淳の完全なるマイペース先行。
中団を関根大悟が取って後方には緑川という流れ。
加賀山の先行を中団の埼京ラインが千切れ気味になって追走し、やや縦長になったところを緑川がBS捲り。

場内の誰もがそこから鮮烈な捲りで緑川が快勝する絵を思い浮かべただろうが
加賀山の引く先行ピッチが全く鈍らなかったこともあって、緑川はほとんど前に進まず。
思わぬ展開に実況のISO一郎氏も緑川と加賀山を間違えて「加賀山が伸びが今日はない」と混乱気味の実況。

レースは先行した加賀山が後ろを全く寄せ付けず見事としか言いようがない堂々たる逃げ切り勝ち。
2着には4番手からジリジリと捲り追い込んだ関根が入り、加賀山の番手を回った高梨智はハコ3。
2車単配当は38010円、3連単配当は329900円という大穴高配当となった。

レース後しばらくしてから私が2角裏の利根川河川敷駐車場からの入り口前にある
レース結果の一覧表が表示されているモニターの前を通り掛るとモニターを見ていたおじさんたちが
「なんだこりゃ。緑川は落車か車体故障でもしたのか?」とポツリ。

確かに前日の緑川の走りと加賀山の走りを見比べればそう思うのが普通。
しかし、現実には加賀山が実質1周半を全開で駆けてそのまま押し切った訳で
緑川にとっては中団の埼京勢がやや千切れ気味になったこと以外、全く不利はなく完全な力負けと言っていいレースだった。

加賀山よりも年下ながら92期生としてデビューして勝ち星を重ね
今回の開催では優勝候補の一翼を担いながら、いいところが全くない加美山隆行を尻目に
伏兵・加賀山淳が大きな一勝。

たかがAチャレ。されどAチャレ。
まだまだその競走から上手さや力強さといったものはほとんど感じることはないが
着実に競輪選手としての階段を一歩一歩上り続けている加賀山淳。

こうして選手の成長を見守るのも競輪ならではの楽しみ。
たとえダメでも焦らず腐らずゆっくりと。
これからも自分のペースでじっくりと競輪選手としての進化を遂げて行って欲しいものである。