2009年3月19日

競輪場も場外車券売場もない競輪不毛の地の街角にて

この日私が長野県内の市街地を車で走っていたところ、前方には街道を乗り込んでいる自転車乗りがひとり。
その自転車乗りは背が高くスラリとした体型ながら
ふくらはぎのいわゆる腓腹筋がとがったようなかたちに隆起していて見るからに自転車競技者の脚をしていた。

「これはきっとプロに違いない」
そう思った私は追い抜きざまに振り返ってレーサーの顔を確認してみたところ
そのレーサーはまぎれもなくバンクで見覚えのある現役プロ競輪選手そのものだった。

その選手を追い抜いた先にある交差点は変則的な形状の交差点になっていて
東京の都心部をノーブレーキピストで走るような人であれば
当然のように車に混じって車道に出て右折車線をスイスイと通り抜けて行くだろうと思われるような交差点。

しかし私が赤信号にはまってようやく右折待ちの列に並んだ頃
後ろから再度やってきたその選手は右折車線に出てすんなりと右折することなく
一旦直進して交差点を渡ったのちに歩道側に退避して今度は横断側の信号を待つという
いわゆる二段階右折をしっかりと実行していたのだった。

自転車乗りのプロである競輪選手は常に自転車乗りの模範となる存在であって欲しいものだが
一方通行路を逆走したり自動車に混じって右折して行ったほうがどう考えても早く通過することができるこの交差点において
敢えてそのような安全走行を実行したその選手の行動からは
日頃から交通マナーと安全走行を意識して走っていることが窺い知ることができ、実にすばらしいと思った。

実はお堅い部類の仕事でもある競輪選手も仕事で参加している開催での拘束を解かれてしまえばただの一市民。
街中で選手に出くわして思わず「俺はこんなやつに金を賭けていたのか…」とガッカリするようなことも決してなくはないものだが
今回は非常に些細なことではあるがこの選手の安全かつマナーの良い走りを見て
この選手がより一層好きになったことはもとより、こんな立派な選手が熱い走りを見せてくれる
競輪というギャンブルをやっていてよかったと少し誇らしいような思いがした。

近年では競輪選手が一般道をただ走っているだけで沿道住民から警察に通報されてしまったりすることもあるほか
街道練習中の事故も決して少なくなく、競輪選手にとって非常にやりにくい時代になってきてしまっているようだが
地道に積み重ねられる練習は必ずや将来のための血となり肉となるはずだし
特に市街地では交通マナーと安全対策に気を配りつつ、事故のない実になる練習を積み重ねて行っていただいて
これからも末永く練習で培った実力に裏打ちされた熱い競走をバンクで見せ続けてもらいたいものである。

= 追記 =
ストリート発の国際的自転車写真無料誌を発刊するCog Magazine Japanにて当ログの内容を紹介していただきました。ありがとうございます。