2009年6月21日

隠れた大票田・信州に深く根付く公営ギャンブルに対する偏見を覆せ

この春、長野県駒ヶ根市に突如降って湧いた競輪場外車券売場設置騒動。

場外車券売場も含めて公営ギャンブル場が県内にひとつもないことが売りである教育県・長野では
これまでも塩尻市・上田市・東御市の郊外など県内各地に場外車券・馬券売場の設置が検討されたことがあるほか
この駒ヶ根の場外設置話と時を同じくして北信(県北部)の須坂市にも花月園観光が地方競馬の場外馬券売場の設置を検討するなど
各方面で場外馬券・車券売場の設置話が出てはいるがこれまでことごとく立ち消えとなっている。

公営ギャンブルがない長野県とは言え、県内では全くギャンブル熱がないかと言えばそうではなく
長野県のギャンブルと言えばなんと言ってもパチンコの天下。
「よろこびの街100万ドル」「ニチエイ」「パゴパゴ」などの地元土着チェーンに加えてマルハンなどの大手がしのぎを削っていて
長野で地上波のテレビ放送を見ているとかなりの確率でパチンコ店のコマーシャルを目にするほどの隆盛を誇っているが
そのパチンコも規制によるギャンブル性の低下などから客足も遠のきすっかり斜陽化が進行。
今回の駒ヶ根場外車券売場、須坂場外馬券売場設置案では既存のパチンコ店もしくはパチンコ店撤退後の建物を改装して
公営競技の券売場に転換させようという、これまでとは一味違った切り口からプランニングがなされているのが特徴である。

特に累積赤字が積もりかなりの危機的状況と噂されている花月園競輪場(横浜市)を運営する花月園観光としては
地方競馬の場外馬券売場の設置を切り口にして将来的には競輪の販売チャネルをも作出できる可能性があるという目論見と
万一の花月園競輪の廃止に備えての保険的な意味合いも持った重要な事業と考えていたとしても不思議はないだろう。

ひとまずその花月園による須坂場外のことはさておき、今回の案で競輪客として期待がかかるのは
なんと言っても既存のパチンコ店をそのまま場外車券売場に転換するというプランの駒ヶ根の場外車券売場のほうだろう。
競輪不毛の地の長野とは言え中・南信地区には現役競輪選手が多数いるばかりか
かつて前橋競輪場において154万車券を叩き出した等々力公英(長野)の子息で全国高校対抗選手権スプリント優勝のホープ
等々力久就(岡谷工業出身)も98期生徒として競輪学校に入校。
地域的な盛り上がりでその将来性を後押ししてもらえれば競輪の活性化に少なからず貢献してくれるはずだし
現場は伊那谷を行き来する重要な広域農道沿いに位置し、中央自動車道・駒ヶ根インターから至近の距離。
すぐ近くには駒ヶ根の名物であるソースかつ丼の名店である「きらく」や「明治亭」
それに多くの観光客が訪れる千畳敷カールがあるばかりか万一の場合には昭和伊南総合病院までもが控えているという万全の好立地。
競輪客の中でもあまり一般的なことではないかもしれないが、サテライトの旅打ちにももってこいのすばらしい立地となっている。

また駒ヶ根からしばし南下した先にある長野県飯田市を拠点とする自転車レーシングチーム「ダイハツ・ボンシャンス飯田」には今期
北津留翼(福岡・90期)伊藤保文(京都・71期)林次郎(福岡・72期)という3名の現役競輪選手がトラック競技班として参戦。
先に行われた大会では特別な練習もなくぶっつけ本番で実戦に臨んだにも関わらず
4種目にエントリーして3種目で実業団新記録で優勝するなど力の違いを見せ付けたそうで
競輪としては自転車競技の実績とともにぜひとも本業の競輪のほうも売り込んで行きたいところだろう。

しかしこの場外車券売場建設案に対して地元の反応は実に冷ややか。
所詮県外人の偏見かもしれないが元々ギャンブルなどというものは
長野の方言で言うところの「ずくなし」のやることという風潮が大勢を占めている感のある長野では
今回も「現地には病院・学校・老人保健施設があり、治安・風紀を乱し青少年に悪影響を与える競輪場外はふさわしくない」と
いつも通りにどことなく特殊イデオロギーを感じさせるような意見によって一蹴されてしまい
かの地への競輪場外設置話はまたもや夢物語となってしまいそうな雰囲気である。

思い起こしてみれば私も競輪を始める前には
全レース終了後に渋滞を引き起こす競輪場は単なる迷惑施設としか思っていなかったくらいだし
誰しも自分にとって関係の無い施設は競輪場であろうとサッカー場であろうと美術館であろうと学校であろうと病院であろうと
わずかでも混雑や騒音などを引き起こすものはどうでもいい迷惑施設以外のなにものでもないというのが正直なところ。

ましてや公営競技に対して偏見が著しいお国柄ではその風当たりは尚更根強いため
これからの公営競技場には本来のレース場や車券販売場という利用法を越えた場の利用法なども開拓していただいて
いかにして多くの人にとって「自分に関係ない迷惑施設」から「自分に関係ある施設」に転換していけるかということも
公営ギャンブルに対する偏見を覆すための重要な要素となっていくことだろう。

私個人的には前述の通りの立地の良さや地域的な盛り上がり、そして…

競輪の魅力を体現するようなこんな地名があるこのあたりにはぜひ競輪の灯が点って欲しいと思うのだが…。


=関連リンク=
・ダイハツボンシャンス飯田
・駒ヶ根に想う 賭博が栄えるふるさと駒ヶ根に
・駒ヶ根に想う 駒ヶ根の場外車券売場に地元反対
・競輪場外車券売場サテライトつくばについて考える
・Yahoo!知恵袋 近所でサテライト開設の動きがあります。大嫌いなのでやめさせたいのですがいい方法ないでしょうか
・甲府市中心商店街への場外車券売場の誘致に反対する要望書
・Doing It To Death 場外車券売り場を計画 駒ケ根に松川町の企業

・MasanoriYamagishi.net 現役競輪選手による競輪場の利用法の提案
・人が好き!みどりが好き!鶴見が大好き!! 花月園競輪は迷惑施設の要素もあるが地元の大切な資源